ガス配管工事での酸素欠乏症事故

業種 | その他 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 異常環境等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建設工事 | ||||
災害の種類 | 酸欠 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.683
発生状況
作業場所が酸素欠乏状態になる要因としては、(1) 微生物の呼吸作用、物質の酸化等による空気中の酸素の消費
(2) 酸素を消費するような地層に通ずる井戸、ずい道等での酸素含有量の少ない空気の噴出
(3) 空気以外のガスによる空気の置換がある。
今回の災害は、このうち(3)の要因によって発生した酸素欠乏症事故であった。
A事業場は、主にガス配管工事を請け負っている事業場であり、災害発生当日は、道路地下に埋没されているガス配管(径600mm)の新設部分(2,300m)を連通させる工事を行っていた。
連通作業は、マンホール内の(内容積約8m2)において、ガス配管連結部のガスが通じている部分と未通部分との間にあるガス遮断板を取り除き(遮断板のガスが通じている部分側に開閉バルブがある。)、ガス管を連通させるものであり、その作業手順は次のとおりであった。
[1] マンホール内の酸素濃度の測定および換気(換気は作業中も継続して行う)
[2] バルブのグリスアップ
[3] フランジボルトを外し、ガス遮断板を取り外す
[4] フランジボルト締めにより、配管の再連結
[5] バルブを開き、ガスの連通
当日、作業は4名の作業者で行っており、前記[3]の段階でガス遮断板を取り外すため、バルブのボルト214本のうち、22本を取り外したところ、ガス遮断板の下部がガス圧(1.5気圧)によって押し広げられ、そこから天燃ガスが漏出した。
4名のうち3名は自力で脱出したものの、残りの1名はマンホール内で倒れ、助け出されたときには既に死亡していたものである。
原因
[1] バルブが「開」であったのに、その開閉を確認せずに遮断板を取り外そうとしたため、マンホール内に天然ガスが噴出し、マンホール内が酸素欠乏状態になったこと[2] バルブの開閉の確認に関する作業標準が作成されていなかったこと
が挙げられる。
対策
[1] ガス配管を取り外し、取り付ける箇所にガスが流入しないように確実に当該ガスを遮断すること[2] 作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を18%以上に保つように換気し、または、作業者に空気呼吸器等の呼吸用保護具を使用させること
[3] 適切な作業標準を作成し作業者に周知徹底させること
が考えられる。
なお、ガス配管工事においては、酸素欠乏による災害防止のほか、高濃度可燃性ガスの漏出による爆発火災の危険性もあるので、その防止措置も十分に行わなければならない。