エンジン式エアコンプレッサーを用いた吹き付け塗装作業で一酸化炭素中毒
業種 | その他の建築工事業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | その他の建築工事 | ||||
災害の種類 | 中毒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.671
発生状況
本災害は、塗装室内において、エンジン式エアコンプレッサーを使って建具の吹き付け塗装作業を行っていた作業者が、エンジンの排ガスを吸入し、一酸化炭素中毒となったものである。被災者の属するA塗装工業は、主として住宅建築工事等において塗装を行う事業者である。今回、事故のあった塗装室は、約1年ほど前に建具の塗装を受注した際、一時的に使用するために事業場の構内に設置したものであるが、現場での塗装の手間が省けるなど、便利だったので、そのまま設置しておき、時々使用していたものである。
塗装室には、塗料から発散した有機溶剤の蒸気を排気するため、塗装室の出入り口側に1個、奥に2個の計3個の全体換気装置が据え付けられていた。
当該事業場には、吹き付け塗装に使用する移動式のエアコンプレッサーが4台あり、うち2台は、塗装室で使用する電動式のもの、残り2台は、現場塗装用のガソリンエンジン式のものであった。
災害発生当日、被災者は、塗装作業開始に当たって、電動式のエアコンプレッサーが調整中で使用できなかったために、エンジン式のエアコンプレッサーを使用することとし、塗装室の出入り口の外側約1mのところに設置し、稼動させた。このとき、エンジンの排気口は、塗装室の出入り口側を向いていた。
被災者は、塗装室内部のほぼ中央で、スプレーガンによる建具の吹き付け塗装を開始したが、作業開始後、約5分が経過したころに、エアコンプレッサーのエンジンの排気口から塗装室内に流入した排気ガスを吸入し、倒れたものである。
この時塗装室に設けられてあった全体換気装置のファンを稼動させずに、単に塗装室奥にある窓を半開にし、出入り口のドアを全開にしただけであった。
倒れた被災者は、すぐ同僚が発見、病院に収容され、一酸化炭素中毒と診断された。
なお、有機溶剤による中毒症状は、認められなかった。
原因
[1] 屋内作業にエンジン式のエアコンプレッサーを使用したこと。[2] 塗装室の換気ファンを稼動させずに作業を行ったこと。
[3] 被災者の一酸化炭素中毒に対する認識が低かったこと。
対策
[1] 屋内では、エンジン式のエアコンプレッサーを使用しないこと。[2] 屋内の作業場付近で、エンジン等内燃機関から排ガスを生じる機械を使用する場合は、排ガスの屋内への流入を防止する措置を講じること。
[3] 一酸化炭素中毒等の危険性、有害性について、関係作業者に十分な安全衛生教育を実施すること。
なお、本災害は、一酸化炭素中毒によるものであるが、当該作業場においては、換気が不十分であり、有機溶剤による中毒も十分に考えられることから、局所排気装置を設置する等の措置を講じることが必要である。