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労働災害事例

紙加工品製造の接着作業における有機溶剤中毒

紙加工品製造の接着作業における有機溶剤中毒
業種 紙加工品製造業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:− 休業者数:1人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.669

発生状況

本災害は、紙類の加工品を製造する作業者15人の小規模の事業場において発生したものである。災害の発生時、当該事業場では、紙ばさみ(厚紙の台紙に合成樹脂製のクリップを付けたもの)の作製が行われていた。当該作業は、別の事業場より納入されたクリップと台紙を接着するものであった。
 災害発生当日、午前8時から作業場内において被災者を含めて8名で当該作業に取り掛かった。具体的な作業方法は2人1組で1人がクリップに絵筆で接着剤を塗布し、もう1人がそれを台紙に貼り付けるものであった。被災者は、絵筆を使ってクリップに接着剤を幅1センチ、長さ24.5cmにわたって塗布する業務を行っていた。作業の際、接着剤は皿状の容器に入れて使用していた。正午から1時間程度休憩した後、作業を再開し16時30分ごろ作業を終了した。作業終了後10分ぐらいした時、被災者が手などに震えを感じたため、近くの病院に行き診察を受けたところ、有機溶剤中毒と診断され入院したものである。なお、当該作業場の気積は約650m3で、局所排気装置等の設置はなく、当日は雨が降っていたため窓も閉められており、通風は不十分であった。
 また、使用した接着剤は塩化ビニル樹脂系のものでトルエンを5〜10%含んでおり、当日の使用量は2l程度であった。

原因

[1] 通風が不十分な屋内作業場であるにもかかわらず、局所排気装置等の設置もなく、また、呼吸用保護具も使用されていなかったこと。
[2] 有機溶剤作業主任者が選任されておらず、適切な作業方法の決定がなされていなかったこと。
[3] 作業者に対して十分な安全衛生教育がなされておらず、有機溶剤の有害性に関する認識が乏しかったこと。

対策

[1] 事業者が有機溶剤に対する認識をもち、有機溶剤中毒予防規則等の規定を順守すること。
[2] 作業者に十分な安全衛生教育を実施し、有機溶剤等の有害性等について周知を図る必要があること。
[3] 事業者は新規の作業を行わせる際には、事前に使用する物質等を十分に調査し、法令に定める措置を講じた上で作業を開始する必要があること。