ボイラー配管の補修工事で爆発災害
業種 | 機械器具設置工事業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 可燃性のガス | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 機械器具設置工事 | ||||
災害の種類 | ガス等の爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.666
発生状況
本災害は、ボイラー配管の補修工事中に発生した爆発災害である。このボイラーは、し尿処理場に設置されている炉筒煙管型のもので、バクテリアによる、し尿分解を促進するための保温用蒸気を供給している。燃料は、し尿処理場の消化槽から発生するメタンガスを使用している。補修工事は、配管などに腐食が認められたために配管及びガス安全器を取り換えるものであった。
災害が発生したのは、ガス安全器の取り換え工事においてであった。同工事は災害発生の前日から行われた。前日の段階で、新しい安全器と既存の配管をつなぐフランジのボルト穴の位置が合わないことが判明したため、フランジ部分の配管をまず取り外し、該当部分だけガス溶断してボルト穴の位置を調節し、再び溶接することとした。この作業に当たっては、配管には消化槽からメタンガスを含むガスが来ているので、消化槽側の仕切弁を閉じ配管側のフランジに閉止板を入れ取り換え工事に当たることとした。
災害発生当日、予定どおり、消化槽の仕切弁を締め、フランジ部分の配管を取り外し消化槽側の開口部にはガムテープを張った。このガムテープによる処置は、配管内のガス圧は100mmH2O程度あり、仕切弁を閉じてもガスの流れを完全に止めることができないとの理由で、応急的な措置としてなされたものである。
しかし、ガムテープだけではガスの流出は止まらず、前日の計画どおりフランジに閉止板を入れようとしたが、ボルトが外れず、結局、閉止板は入れられなかった。
この間、近くのボイラー室内で配管のガス溶断作業が別に行われていたが、このボイラー室内で爆発が発生した。この溶断作業は、ボイラー室外で行われる予定となっていたが、当日は雨のため、室内での作業に変更されたものであった。
原因
[1] 取り外した配管の開口部からメタンを含む可燃性ガスが漏えいしたこと。[2] 漏えいしたガスが近くのボイラー室に入り、滞留したこと。
[3] ボイラー室内でガス溶断作業が行われていたこと。
また、当日、本工事の責任者が不在であり、適切な作業の指揮・連絡調整を行う者のいなかったことが大きな原因である。
対策
[1] 消化槽につながる配管の取替工事等では、仕切弁を閉じるだけでなく、閉止板を必ず施す等のガスの流出の防止措置を講ずること。[2] ガス溶断等の火気作業は、前記[1]の措置が確実にとられていること、他に爆発火災のおそれのないことを確認した後に行うこと。
[3] 作業の方法・手順については、あらかじめ安全の観点から、事前に十分検討を行い、文書等で明確に指示すること。
[4] 現場責任者は、関係請負人との連絡調整を図り、作業の指揮・指示を徹底すること。