合板仕上工程の木材粉じんが爆発
業種 | 合板製造業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の金属加工用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.654
発生状況
災害を起こした事業場は、作業者349名を使用し、合板・ランバーコア建築造材用製材品を製造している。同事業場の合板仕上部門は、20機の合板用自動切断機、自動カンナ盤等の木材加工用機械が設置されており、当日は、主として厚物合板の縁切断と表面仕上げを行っていた。木工機械から出る木材粉じん(以下ダストという)木片等は、それぞれの木工機械に取り付けられている吸引ダクトを通して、図のようにダスト室に送られダスト室下部の鋼製桝に沈下堆積する。鋼製桝に堆積したダストは、ボイラーの燃料としてスクリューコンベア、送風ファン等によりボイラー室の焼却炉へ送られる。
当日の午後6時頃、ダスト室上部にあるモルドウ付近から黒煙のあがるのが認められ、ボイラー係等の担当者が現場に赴き、対策を打ち合わせていたところ、突然、ダスト室付近で爆発が発生した。この爆発により、ダスト室の鋼製扉が吹き飛ばされ、吹き出した熱風で近くにいた3名が火傷を負った。
原因
[1] ボイラー室に近接するモルドウは、内壁の焼損が著しくバグフィルターは全て焼け落ちていた。[2] 合板仕上工程にあるファン、ダクト、モルドウ等は、異常を認めなかった。
[3] ダスト室内は全体にすすけた状態であったが、焼損は認められなかった。
[4] ボイラー関係では、当日、バックファイヤー等の異常は認められなかった。
以上のことから、爆発はボイラー室に近接するモルドウ内部で発生したものと推定された。モルドウ内部は、合板仕上工程から送られてくるダストが立ち込め、ダストの濃度は爆発限界内にあったと推定される。
また、着火源については、合板の切断に伴って発生する木片のうち比較的大きなものが、集合ファンの羽根車とケーシングの間にはさまって摩擦により発熱し、これがモルドウ内に送られバグフィルターに付着、フィルターを燃焼させたことによるものと推定される。モルドウ付近から黒煙があがったのは、バグフィルターの燃焼に伴うものと推定された。
対策
[1] 木工機械のダスト吸入ダクトに金網等を設け、大型の木片の吸入を防止すること。また、この金網等は定期に点検できる構造とすること。[2] ダクト室内の温度上昇等の異常を感知できるようにし、ダスト室にはスプリンクラー等の消火設備を設けること。
[3] ダスト室には、爆発発生時に有効に圧力を放散できる爆発圧力放散口を設けること。また、この放散口の取付け位置は、圧力を安全な方向に放出できる位置とすること。
[4] バグフィルターには、バグ前後の急激な圧力低下を知らせる警報機を取付けること。また、バグフィルターには、摩擦や衝撃による火花の出ない粉じんの振い落とし機構を設けること。
[5] 関係者に対し、粉じん爆発の危険性とその防止対策等に関する安全衛生教育を実施すること。