次亜塩素酸ソーダと酸が混合して発生した塩素ガスで中毒
業種 | 飲料(酒類を除く)製造業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 有害物 | |||||
災害の種類(事故の型) | 有害物等との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.622
発生状況
A社は清涼飲料水の製造メーカーである。Bらは、空缶供給器の停止時間を利用して、その清掃作業を行うこととした。空缶供給器は飲料水を缶に入れる装置へ空缶を供給する機械であり、空缶(最大約8千缶)を入れる部分とそれをコンベヤへ送り出す部分とから構成されており、高さ2m、幅10m、奥行き5mほどの大きさである。
作業はBとC班長の2人で開始し、まず空缶供給器の水洗いを行ったが、汚れが取れないので、Bが酸性洗剤(硝酸及び有機物を含む。)をコンベヤに0.5lほど散布し、布を用いて汚れをふきとり始めた。
一方、C班長は機械の上に乗り、機械上部の汚れを落とすため、次亜塩素酸ソーダ3lを機械上面へ流した。ところが、その場所が、たまたまBの作業していた場所の直上だったため、次亜塩素酸ソーダと酸性洗剤が混合して塩素ガスが発生した。
Bは異臭を感じすぐに退避したが、しびれ、めまい及び胸部圧迫感等を感じた。その後もその症状は消えなかったが、とりあえず、機械に水を流し、清掃作業を完了した。
その後症状がひどくなったため、医師の診断を受けたところ塩素ガス中毒と診断され、休業6日の災害となった。
原因
本件の原因は、次亜塩素酸ソーダと酸性洗剤を同時に用いたことである。Cは、それまでも次亜塩素酸ソーダと酸性洗剤を用いて清掃作業を行ったことはあったが、同様の事故は発生していなかった。そのため、両方の洗剤を混合すると危険であるとの認識は持っていなかった。また、本災害の直接原因ではないが、Bは定められた作業手順に反して素手で酸性洗剤を用い、Cもそれを放置していたことは、作業管理が的確に行われていないことであり、間接原因の一つと言える。
対策
1 清掃作業を行う作業者及び監督者等に対し、教育を徹底すること。2 次亜塩素酸ソーダや酸性洗剤の貯蔵場所に掲示を行うこと。
3 次亜塩素酸ソーダ及び酸性洗剤を容器に入れた場合にはその容器に表示を行うこと。
4 具体的な作業基準を作成すること。
5 保管から取り扱い及び空容器の処理に至るまで責任者を指名する等、管理体制を整備すること。
6 場合によっては適正な保護具を備え付けること。
7 排水溝等において塩素ガスが発生しないような措置をとること。