焼却炉に詰まった灰を除去する作業中に爆発
業種 | その他の清掃・と畜業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 可燃性のガス | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.594
発生状況
本災害は、一般家庭ゴミおよび粗大ゴミの焼却を行う焼却炉において、炉に詰まった灰を除去する作業をホースで注水しながら行っていたところ、灰から発生した水素ガスに点火、爆発し、除去作業中の作業者3名が被災したものである。当該焼却炉は、ゴミの燃焼により生じた灰が、焼却炉から灰落としダンパー、灰シュートを通って灰押出し機の中に落とされ、冷却された後、灰出しコンベヤーに押し出され、灰ピットに運ばれる仕組みとなっていた。
また、焼却炉は24時間操業で、3班2交替制(昼間勤務と夜間勤務)となっており、災害発生の前日の夕方から当日の朝までは第2班が夜間勤務に就いていた。
午前1時ごろ、灰落としダンパーの作動の異常が中央制御室の表示盤で認められ、また、焼却炉内部を映すモニターカメラにおいても、後燃焼部分に灰が蓄積していることが確認された。
そこで、運転手が灰落としダンパーを手動運転に切り替えて操作してみたが、作動しなかった。このため、班長は、ゴミ焼却の継続は無理であると判断し、午前2時ごろから班員に炉へのゴミの投入や送風を停止させ、午前4時ごろには埋火のための操作が終了した。
午前8時20分から第2班と第3班の業務引き継ぎが行われ、技術職員2名を含む計3名の職員が復旧作業に当たった。
まず、3名は、点検口を開け、全面壁状に詰まっていた灰を、スコップ、突きノミ等を使って点検口から掻き出した。
次に、灰が舞い上がることを防ぐため、点検口から断続的にホースで注水しながら、突きノミを使って灰をシュート内の下方に突き崩す作業を行ったが、シュートの中心部には大きなクリンカ(灰の溶解物とガラス、金属、プラスチック類の溶解物が混合したもので、冷えると岩状になる。)があって、下まで突き通せない状態であった。
なお、クリンカはまだ熱く、突きノミでこれを突くと、火花が散ることがあった。
午前10時、突然点検口より下方のシュート内部において爆発が起こり、点検口から熱風とともに熱灰とクリンカが吹き出した。この際、作業を行っていた3名は、吹き飛ばされ、熱風、熱灰により火傷を負った。
原因
1 焼却炉の構造が、灰が詰まりやすく、また、炉内で生じたガスが外部へ抜けにくいものであったこと。2 焼却炉に灰が詰まった場合の対応マニュアルが作成されていなかったこと。
3 作業者に対して、灰が詰まった際に可燃性ガスが滞留する恐れがあること等について教育を実施していなかったこと。
4 ゴミ収集に際して、分別収集等によるゴミの選別が徹底していなかったため、アルミニウムを含んだゴミを焼却したこと。
対策
1 焼却炉に詰まった灰の除去作業は、灰が十分に冷めて安全性が確保されてから行うこと。2 焼却炉の構造を、灰が詰まりにくく、また、炉内で生じたガスが外部へ抜けやすいものとすること。
3 焼却炉に灰が詰まった場合の対応マニュアルを作成すること。
4 作業者に対して、灰が詰まった際に可燃性ガスが滞留する恐れがあること等について教育するとともに、3の対応マニュアルの内容を徹底すること。
5 ゴミ収集に際して、分別収集等によりゴミの選別を徹底し、危険性のあるゴミを焼却しないこと。