ガス熱風式乾燥機のメインバーナーが消炎し、ガスが滞留、これに引火し爆発
業種 | その他の金属製品製造業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 乾燥設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.588
発生状況
本災害は、配電盤等金属製品の塗装全般を行う事業場において、吹き付け塗装された製品をガス熱風式乾燥機により乾燥中、乾燥機のメインバーナーの消炎により燃料のLPガスが炉内に滞留し、これにパイロットバーナーの火が引火爆発(推定)したものであり、この爆発により鉄骨スレートぶき2階建工場を半壊し、また、熱風により作業者1名が全身火傷を負った。事業場には、2台の乾燥機があり、爆発した乾燥機では、被災者と他の作業者の2名が作業を行っていた。
当日の午前中の作業は、制御盤の扉等の吹き付け塗装とその乾燥作業であり、この時の乾燥作業では乾燥機に異常はなかった。
午後の作業は、午前中に乾燥させ、昼休み時間に自然冷却させた製品を取り出し、その後、配電盤収納箱の油受け吹付け塗装を行い、これを乾燥機に入れた。
乾燥作業は、乾燥機内温度120℃、30分間で終了し、その後自然冷却することとしていた。
乾燥機は、この30分間を経過すると乾燥が終了したことを知らせるブザーが鳴り、自動的に乾燥機の運転は切れるが、ブザーは鳴り止まない方式なので、鳴った時にブザーを止めるため作業者が乾燥機に行ったところ終了5分前だったので、手洗場に行こうとしたところ、爆発が生じ他の塗料に燃え移り火災が発生し、近くにいた被災者が火傷した。
乾燥機は、メインバーナーの高燃焼により、約10分間で乾燥温度が設定温度の120℃となり、自動的にメインバーナーは低燃焼となり、乾燥温度が115℃に下がると、再び高燃焼となり120℃まで上昇する比例制御方式の構造となっている。
乾燥機において、メインバーナーが低燃焼へ切り替わった時にメインバーナーの消炎が発生し、乾燥室内にLPガスが滞留し、この滞留したLPガスが爆発濃度に達したときに、パイロットバーナーの火炎により引火爆発したものと推定されている。
原因
1 爆発の直接的な原因については、温風発生装置の燃料であるLPガスが乾燥室内に滞留し爆発範囲の濃度に達したとき、パイロットバーナーの火炎により引火爆発(推定)したこと。2 安全燃焼装置等について、定期に自主点検をしていなかったこと。
対策
1 乾燥設備の機能を正常に作動させるため、定期的な自主点検を行うこと。2 乾燥設備のバーナーの消炎に対し、確実に機能する安全燃焼装置等を設置すること。
3 乾燥設備には、有効な爆発戸、爆発孔等を設けること。
4 有機溶剤作業主任者および乾燥設備作業主任者を選任するだけでなく、その職務を完全に行わせること。