全自動ドライ洗濯機内部で爆発が発生し、前にいた作業者が火傷により死亡
業種 | クリーニング業 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | その他の装置、設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.567
発生状況
本災害はドライクリーニング業の工場において、全自動ドライ洗濯機を使用して、洗濯を行っていたところ、突然、洗濯機の内部で爆発が発生し、扉が吹き飛び、前で作業していた作業者が火傷を負い死亡したものである。使用していた物質としては、洗濯に使用する溶剤と洗剤であり、これらは従来より使用していたものである。
洗濯機は一浴式の全自動ドライ洗濯機であり、溶剤が既に内部に投入されており、平常時の使用方法としては、
・ 洗濯物を入れる
・ 洗剤を入れる
・ スイッチを入れる
の手順であり、以降は脱水まですべて自動で行い、終了するとブザーにより知らされる手順となっている。
大きさは、直径2m、奥行き1.4mであり、インターロック、アース等が設けられている。
当日は急ぎのものがあり、1枚だけを洗濯していたところ、突然爆発が発生したものであるが、洗濯機の内部は溶剤が無く、洗濯物は濡れていたことから、溶剤をタンクに流し、脱水する直前の状態で爆発が発生したものと推定される。
原因
爆発の原因としては引火源として、何らかの火源または静電気等が考えられるが、爆発した浴槽内には漏電、スパーク、火花の原因となる電気部品がないことから、静電気によるものと考えられる。一方、使用していた溶剤は、炭化水素系の溶剤であり、引火点は46℃で、爆発性を有するものであるが、電気抵抗率が高く、2.34×1012という結果となっている。電気抵抗率が1011以上は強く帯電する可能性があることから、静電気による爆発と考えられる。
このような危険性があるが、洗剤を溶剤に添加することにより、溶剤の電気抵抗率を下げることができることから、ドライクリーニング業界等で作成しているマニュアルでは、洗剤の適正使用の有効性を明記しているが、事業者はこのことについて十分に理解していなかったこと等もあり、災害発生時はほとんど洗剤が入っていない状態で作業が行われていたものである。
対策
[1] 使用する薬品の性状、危険性等について十分調査を行い、これらに配慮した作業マニュアルの作成等必要な対策を講じること。[2] 作業者に対し、これらを踏まえ十分な安全衛生教育を実施すること。
[3] 電気抵抗率の測定機等により、安全を確認しながら作業を行うこと。