ソルトバスクーラーの伝熱管の破裂により火傷
業種 | 無機・有機化学工業製品製造業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 原動機 | |||||
災害の種類(事故の型) | 破裂 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.485
発生状況
本災害は、通常運転中の無水フタル酸製造用反応器に取り付けてあるソルトバスクーラー(第一種圧力容器、図1)の伝熱管が破裂し、縦亀裂(長さ約10cm)が生じ、吹き出した水蒸気(28kg/cm2)が、当該反応器内(シェル側は常圧)に保有している熱媒体の溶解塩(370℃)とともに、ベント管等より外部に噴き出し、付近で清掃作業中の被災者がこれを浴び火傷を負うとともに同反応器の攪拌機Vベルト等に付着し、火災が発生したものである。この反応器は、オルトキシレンを触媒を用いて酸化し、無水フタル酸を製造する特殊化学設備であり、反応温度を一定に保つために、ソルトバスクーラー(シェル側は常圧で溶融塩が入っており、これを冷却するため伝熱管側は170℃の水が供給され、240℃、28kg/cm2の水蒸気を他に供給し、最高使用圧力32kg/cm2、内容積0.90m3の第一種圧力容器である)が設けられていた(図2)。
原因
[1] 伝熱管は、高温配管用炭素鋼鋼管を使用していたため、腐食が生じやすかったこと。[2] 破裂箇所は、伝熱管(外管)の中に缶水吹出し管(内管)が設けられている二重管の部分であるため、偏流等により伝熱管にエロージョン(流体によって金属が物理的に摩耗すること)が生じたこと。
[3] 設置後、約20年経過し、本件災害発生前に伝熱管の漏れがあり、補修した経過があるが、性能検査時の検査官に対し、補修経過等を報告していなかったこと。
対策
[1] ソルトバスクーラーの伝熱管には、耐蝕性の優れた鋼管を使用すること。[2] 早い流速の部分には、二重管の使用を避けること。
[3] 漏洩事故等の記録や補修記録を定期自主検査記録とともに保存し、これを性能検査時の検査官に対し明示すること。
[4] 反応器およびその付属品等の部品交換基準、廃棄基準、耐用年数等を定め、これに基づき反応器の的確な管理を行うこと。