シールドトンネル工事における爆発災害
業種 | トンネル建設工事業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 可燃性のガス | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | 水力発電所等建設工事 | ||||
災害の種類 | その他の爆発・火災等 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.428
発生状況
この工事は公共下水道工事で、工事の概要は次のとおりである。[1] 工期 2年6カ月
[2] 請負金額 約10億円
[3] 工事内容 延長1,150mにわたって、泥水加圧シールド工法により下水道トンネルを建設する工事
作業手順は、まず、シールド機前面に取り付けられた回転カッターで切羽の掘削を行い、シールド機の後方で鋼製セグメントの組み立ておよびセグメントの裏込め注入を行うものである。
災害発生時までに坑口から460m(No.513リング)までのセグメントの組み立てが終了しており、裏込め注入はNo.509リングまで終了していた。
当日の午後8時ごろ、1リング分(0.9m)の掘削作業中、突然切羽付近で爆発が発生し、作業中の2名が火傷を負った。
掘削箇所の地質・地層は、軽石質砂れき層が中心で、一部にシルト層が存在した。また、シルト層の下方にはガスの滞留のおそれがある砂れき層があった。
なお、本トンネル内においては、坑口、坑内中間点、切羽の3カ所で毎日2回(午前6時、午後6時)可燃性ガス濃度の測定が行われていたが、午後6時の測定の際には異常は認められなかった。
また、換気については、立坑入口付近に送風機(150m3/分)が設けられ、切羽から50mの地点までスパイラル管によって押込送風が行われていた。
原因
爆発後に行われた調査によると、No.512リングのグラウトホールおよびシールド機後部天端付近において、メタンガス濃度が5%以上を示した。この周辺で点火源となり得るものとしては、次のものが考えられる。[1] シールド機カッター駆動用電動機
[2] 作業灯(300W)
[3] 操作ユニット開閉器
[4] 喫煙の火
このうち[1]については、防爆構造となっており、また[2]については、全く損傷がないことから、[3]または[4]が点火源となった可能性が高い。
対策
[1] メタンガスの発生のおそれがある地層が掘削箇所の下方に存在する場合であっても、メタンガスに対するチェックを十分に行うこと。したがって、ガスの滞留が予想されるグラウトホール、シールド機後部とセグメント間のすき間等の箇所を入念に測定すること。なお、必要に応じて、自動警報装置を設置すること。[2] 換気のための風管についても、できるだけ切羽近くまで設置すること。
[3] 喫煙等の火気管理を徹底すること。