マグネシウム・アルミニウム合金の粉じん爆発
業種 | その他の土石製品製造業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 爆発性の物等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 爆発 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.418
発生状況
本事業場は、窯業原料の製造販売を事業とし、主な製品として、粗砕した(粒径10mm程度)マグネシウム・アルミニウム合金を60メッシュ以下にさらに細かく粉砕し、同合金の微粉末の製造を行っている。この微粉末は、耐火レンガやアーク溶接棒の製造の際の添加物として使用されており、合金の成分比は重量比でマグネシウム1に対してアルミニウム2である。本災害は、同合金の粉砕機付近で発生した粉じん爆発によるもので、同機付近で電気掃除機を用いて清掃作業を行っていた作業者が、火傷・全身打撲により死亡したものである。
粉砕機は、次頁の図に示すように上部から原料である粗砕した合金を投入し、内部にあるボールミルにより微粉末に粉砕後、スクリューコンベヤーで製品として抜き出すものであり、能力は約0.4トン/日である。
災害発生当日は、粉砕機は、稼働しておらず、被災者は早朝から粉砕機の振動フルイ機付近で電気掃除機を用いて清掃作業を行っていたが、作業開始後約20分経過した時に、突然大音響ととも爆発が発生し、粉砕機のホッパー部分が全壊するとともに、工場建屋の屋根や壁のストレート等が飛散し、被災者は火傷と打撲により死亡したものである。
原因
[1] 当日、粉砕機は稼働しておらず、粉砕機付近で行われていた作業は、電気掃除機を用いた清掃作業のみであったこと。[2] 災害発生後の調査で、電気掃除機内の5枚の吸引ファンのうち1枚が破損していることが判明したこと。
[3] 災害発生時の電気掃除機による清掃は、振動フルイ機の付近(図参照)で行われており、電気掃除機内で発生した爆発に伴う火災が、粉砕機のホッパーへ伝播する経路があったこと。
なお、電気掃除機内の爆発は、掃除機内の合金粉じんに、フィルターに付着した合金微粉がはく離する際に発生する放電火花が着火して発生したものと推定される。また、掃除機は、モーター、スイッチには接地がなされていたが防爆構造のものではなかった。
対策
(1) 電気掃除機を使用する場合には、ホース、ダストタンク、フィルター等の構造部分は帯電防止のために導電性の良い材質のものを用い、かつ、確実に接地すること。また、合金微粉末に対して防爆性能を有する防爆構造のものとすること。なお、これらの性能が得られない場合には、ほうき等により粉じん爆発の危険性のない方法で清掃すること。
(2) 粉砕機のホッパー内の酸素濃度を減少させる適切な措置を講ずること。
(3) 例えば、粉砕機のホッパーから粉末を取り出す際には専用の容器を用いる等粉砕機室内の浮遊粉じん、堆積粉じんの軽減に努めること。
(4) 適正な作業標準を作成し、関係作業者に対し粉じん爆発防止のための安全教育を実施すること。