安全衛生のキーワードで関心が高いものについて解説しています。
アーク溶接とは、溶接方法の一つで、空気(気体)中の放電現象(アーク放電)を利用し、同じ金属同士をつなぎ合わせる溶接法です。母材と電極(溶接棒、溶接ワイヤ、TIGトーチ等)の間に発生させたアークによってもたらされる高熱で母材および溶加材(溶接ワイヤ、溶接棒)を溶融させて分子原子レベルで融合一体化する接合法であり接着とはまったく異なる方法です。
アーク溶接には、被覆アーク溶接,ガスシールドアーク溶接(テイグ,ミグ,マグ溶接),サブマージアーク溶接,セルフシールドアーク溶接,エレクトロガスアーク溶接等があります。
アーク溶接作業に係る労働災害の主要なものは次のとおりです。
アーク溶接のヒューム等の粉じんのうち、微細な粉じんは肺の奥深くの肺胞にまで入り込み、そこに付着します。これらの粉じんを吸い続けると、肺内では、線維増殖が起こり、肺が固くなって呼吸が困難となります。これが、「じん肺」です。じん肺の新規有所見者は減少傾向にあるものの、依然として年間200人近くの新規有所見者が発生しており、そのなかでも業種別では、金属製品製造業、機械器具製造業、作業別では、岩石・鉱物・金属研磨等作業やアーク溶接作業に係る作業者の占める割合が以前と高い割合となっている状況です。
平成24年4月1日より、粉じん障害防止規則及びじん肺法施行規則が改正されました。この改正により、屋外で金属をアーク溶接する作業等が呼吸用保護具の使用対象になります。