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あんぜんプロジェクトの今年度第1回職場見学会を、2017年11月29日にアサヒビール株式会社神奈川工場にて実施しました。

Asahi
日  時 平成 29 年 11 月 29 日(水) 13:45 ~ 17:00
場  所 アサヒビール株式会社 神奈川工場
 あんぜんプロジェクト掲載ページ
内  容 ①工場見学
 ・一般見学
 ・現場見学
②5Sを中心とした取組の紹介、質疑応答

アサヒビール株式会社神奈川工場は、2002年に竣工し、生産量は年間約17万KLで約41万㎡(12万5千坪)という緑豊かな広大な敷地の中にあり、グループ会社・協力会社含めて318人が勤務しています。ビールはとことん自動化された設備で徹底した品質管理のもと仕込・発酵・熟成・ろ過・パッケージングまでの一連の生産工程を経て作られています。
今回、あんぜんプロジェクトメンバーは、13社から22名の方々に参加いただき、約3時間にわたって工場見学や5Sの取組紹介などを実施しました。


工場見学

一般見学エリア

工場見学案内スタッフの説明で、まず一般の方のコースを見学しました。

はじめに
映写室でアサヒビール神奈川工場の紹介ビデオを見て、製造工程の概要や工場独自の取り組みを理解します。 一般見学コースでは、各所で大きなガラス窓から製造現場を一望することが出来るようになっています。工場見学案内スタッフからパネルやモニターなどを使った説明を受けます。
一般見学エリア01 一般見学エリア02 一般見学エリア03
仕込室
原料展示・ろ過
仕込室では、大きな釜で麦芽やホップなどの原料を煮込み、1回の仕込で350ミリリットル缶 約36万本分のビールのもととなる麦汁を作っています。 一般見学エリア04 ビールの原料である麦芽やホップの実物を触ったり香りを嗅いだりした後、ろ過工程の説明へ進みます。ろ過されたビールは、透き通った黄金色になります。 一般見学エリア05
発酵・熟成
発酵・熟成工程では、容量500キロリットルの屋外発酵熟成タンク45本が設置されています。外気に左右されることなく、熟成したビールは0℃に近い温度で管理します。 一般見学エリア06 隣のエリアにはノンフロン冷凍設備や原料水などのユーティリティーのタンクも見えます。エンジニアリング部の原動部門が365日24時間体制で運転管理しています。 一般見学エリア07
缶詰
びん詰
ビールを自動的に缶へ詰める工程です。1分間に1500本も充填することが出来ます。そのスピードに参加者からは驚きの声があがっていました。 一般見学エリア08 びん詰工程です。市場から回収されてきたリターナブルびんを自動的に選別して洗浄した後にビールを詰める工程です。1分間に600本充填できます。缶製品や樽製品に比べてびん製品の需要は年々少なくなっているそうです。 一般見学エリア11
缶のふたをビールが酸化しないように素早く巻き締める工程です。新鮮なビールを充填するために欠かす事の出来ない設備であり、こちらも完全に自動化されています。 一般見学エリア09 一般見学エリア12
ふたを巻き締める工程では異常が発生した場合、機械が自動で止まりオペレーターに知らせる仕組みとなっています。 一般見学エリア10    
環境への取組や製品紹介
アサヒグループの環境への取り組みやグループ各社の製品について紹介しています。
神奈川工場は「環境創造工場」を目指し、数十種類にごみを分別して再資源化を行っています。また敷地内にビオトープを設け、5月下旬から6月上旬にかけて蛍の鑑賞会も開催されており、地域の森林保全活動などにも取り組んでいます。
一般見学エリア13 一般見学エリア14

最後に品質管理室を見学します。ビールの味、香り、泡立ち、色などを分析して管理しています。徹底的に自動化された工場でも最終確認は機械ではなく人が行っており、人の手無くしては美味しいビールを作る事は出来ないそうです。

現場見学

工場総務ご担当者、および現場ご担当者の案内で、物流倉庫と醸造棟エリアを見学しました。

物流倉庫
ロボットでパレットに積み付けられた製品は無人フォークリフトにより決められた場所に積み上げられます。無人フォークリフトは全て自動制御で運転されています。走行エリアはフェンスで仕切られ稼働中の立入りは禁止されています。緊急時にフェンス内に入る時は扉に設置された進入許可申請ボタンを押して入るルールになっておりそれにより走行が停止する仕組みになっています。このボタンを押し忘れた場合でも無人フォークリフトに取付けられた人感センサーにより止まる仕組みになっています。また、走行中はメロディを流すことで周囲に注意喚起をしています。現場見学01
醸造棟1階(貯酒タンク下部)
発酵タンクではビールの温度コントロールやタンクや配管の洗浄に至るまで全て自動化されています。そのため発酵中のビールの分析用サンプルを取ることや点検業務以外の目的でこのエリアに入ることは殆どありません。タンク下は、低温空調されていますが夏場の外気の温湿度が高い場合はビール配管に結露が発生するため、床にたれた結露水で作業員が滑り転倒しないように足元の注意を喚起するステッカーが要所要所に貼られています。

5Sを中心とした取り組みの紹介、質疑応答

工場見学の後は、神奈川工場パッケージング部での5Sの取り組みについて説明いただき、質疑応答を行いました。

アサヒビールにおける5Sの取り組みについて
アサヒビールでは、「工場の6つの使命(PQCDMS)を支えるものは5Sです」との考え方のもと、5S活動を推進しています。PQCDMSとは、「P (Productivity) 生産性」「Q (Quality) 品質」「C(Cost) 原価」「D (Delivery) 納期」「M (Morale) モラール」「S (Safety) 安全」という、工場における基本的かつ重要な6項目です。
■いつもキレイな職場に事故はなし
  • 自動化により無人の工程が大半のビール製造現場で、労働安全の下支えをしているのが、正しい5S活動
  • 正しい5S活動とは、5Sの定義に基づいて全員が行動し成果に結びつける活動
    <5Sの定義>
    整理 要るものと要らないものを分け、要らないものを捨てる。
    整頓 要るものをすぐに取り出せ、すぐに元に戻せるようにする。
    3定(定品・定位・定数)で表示する。
    清掃 汚れ、ゴミ、ほこりを細部まで取り除く。
    清潔 3S(整理・整頓・清掃)を維持する。
    決めたこと、決められたことを守る。
5Sの取組について01
■整理・整頓の重要性
  • 整理・整頓の重要性を参加者に実感してもらうため、3種類の【体感シート】を配布し、シート上で1から40までの数字に順番に○をつけ、つけ終わるまでの時間を比較するというゲームを行った。
5Sの取組について02

【体感シート①】乱雑な状態
  シートの全面に無秩序に数字・平仮名・英字が記入されている。

【体感シート②】整理された(要・不要に分別した)状態
  シートの上段には1~40の数字。ただし、順序性がない(「要るモノ」)。
  シートの下段には1~40以外の数字・平仮名・英字(「捨てるモノ」)。

【体感シート③】整頓された状態
  シートの上段には1~40の数字が順番に入っている(「整頓済み」)。
  シートの下段には何も入っていない空枠(「空スペース」)。

<ゲームの結果>
①→②→③の順に、つけ終わるまでの時間が短くなる。③は「対象を使用する順番に並べた場合」に該当し、あっという間に○をつけ終えることができる。
整理・整頓により、物を捜すというムダな時間が無くなり、過剰な在庫もゼロになる。
■パッケージング部の5Sへの取組
  • 「約束事」として、「通路にものを置かない」などの「目指す姿」を具体的に設定し、美しい職場創りを目指す。
  <整理>
  • 工場内にあるものを13種類に分類し、「要るもの」と「要らないもの」の基準を明確にしている。
  • 「不用品の搬出→実施前・実施後の撮影と記録→3ヵ月後にフィードバック」というサイクルの1Sデーを継続的に実施している。
<整頓>
  • すぐに取り出せてすぐに戻せる3定を徹底している。
  • 整頓に関する情報共有や情報発信を継続している。
    掃除用具置場の5Sコンテストを行う。
    神奈川工場の整頓の工夫を、全工場に月1回送付する。
<清掃・清潔>
  • チームごとに毎日・毎週・毎月の目標を設定し、活動を見える化する。
  • チームで相互パトロールを行い、結果を一覧表に記入して伝える。
  • 「ひとりひとりの活動がアサヒファンを増やす活動」と認識する。
<躾>
  • 『5Sの4悪』を設定している。
  • 具体的には「直置き」「チョイ置き」「立てかけ」「テープやシール痕」を禁止としている。
5Sの取組について03

5Sの取組について04
■正しい5S実践の成果
  • 全員参加、部長・職制の率先垂範で5Sを推進したことにより、現場の見通しが良くなった。その結果、職場の安全が確保され、品質・生産性の向上も実現した。

    <2016年1-12月末 結果>
    安全 ゼロ災継続。
    品質  1時間以上不適合品入庫なし。
    稼働 24時間以上の停止なし。出荷確保率全列(決められた製造数量を決められた時間内に製造する事)100%。
■5S成功のポイント
  • 5Sは誰でもできる平凡とも言える活動だが、非凡なレベルまで徹底して行うことが重要。徹底して行うことにより、職場環境が改善し、優れた品質や高い生産性を誇る工場になることができる。
  • 大切なのは「網羅性」と「継続性」。
 

網羅性

現場の隅々まで目を配る。
放置されているエリアをできるだけ減らす。

継続性

100分の活動を1回行うよりも、1分の活動を100回行う。
継続しているうちに習慣になり、習慣が美しい職場の維持につながる。
ただ続けるだけではなく、常に改善を心掛ける。


参加者との質疑応答
Q 5S活動の実践に当たり、全員に共通認識を持ってもらうために、最初に取り組んだことは何か。
A 本物の5S活動を目指して、全員参加のための役割分担と部長の率先垂範を促した。
5Sレベルの高い他社ではベンチマークで定着するのに10年程要するとお話しを聞いた。我々が本物の5S活動を目指して取組み始めて5~6年経つがまだまだ課題もあり伸び代もあると感じている。
Q 職場で無意識に行動してしまったり、安全に対する感度が鈍ってしまったりして、ケガが発生することがある。このような事態を未然に防ぎたい。安全に対する感度を高めるために、どのような取り組みを行っているか。
A
  • 毎朝、KYT宣言(「今日も1日ゼロ災で行こう、ヨシ!」)を行っている。
    • 5Sの取組について05
    • 5Sの取組について06
    • 神奈川工場では、従業員の1日は、安全確認から始まります。現場に入る前に必要な確認を行い、「安全ヨシ!」と声をかけると、音声ガイダンスが「おはようございます!今日も一日ご安全に!」と答えてくれます。
  • KYTトレーニングで、安全に対する感度を高める。
  • 毎月1回、安全ミーティングを実施している。
Q 5S実施の結果、労災は全く発生しなくなったのか。
A
  • 数年前に休業災害が1件発生、今年は関係会社で休業災害が1件発生したが、それ以外は発生していない。
  • 労災発生を防ぐポイントは、「声かけ」と「褒めること」の徹底であると考えている。

参加者の声

参加者からは、以下のような声が聞かれました。
参加者の声01
  • 5S活動について詳しく知りたかったので、丁寧な説明が聞けて良かった。
  • 製造工程が本当に無人化されていたので、驚いた。 さらに、そのラインを管理している従業員が5S活動に熱心に取り組んでいるということで、非常に感銘を受けた。
  • 安全についての取り組みの説明が具体的で参考になった。 自社にも取り入れようかと考えている。

ビールの製造ラインは、仕込工程、発酵熟成工程、ろ過工程、パッケージング工程まで、ほぼ完全に自動化されていました。ラインで人の姿を見かけることはほとんどありませんでしたが、見えないところで従業員が5S活動に徹底して取り組み、きれいで安全な職場環境を実現していることが分かりました。無人のラインの安全性を支える5S活動の重要性が参加各社に伝わった職場見学会でした。