キュービクル(受電設備)の高圧盤内をのぞき込んだとき、6,600Vの高圧線に触れて感電
業種 | その他の電気機械器具製造業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 電力設備 | |||||
災害の種類(事故の型) | 感電 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | その他保護具を指定していない | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 通電中の電気装置の |
No.1066
発生状況
この災害は、各種計器類を製造する工場に設置さているキュービクル(受電設備)のコンクリート基礎台に上り、キュービクルの高圧盤の内部をのぞき、前日に発生した停電事故の原因を調べているときに発生したものである。キュービクル前面は、3区分されており、左側に受電盤、中央に低圧盤、右側に高圧盤を備えており、6,600Vを受電しているものである。それぞれの盤には外開き式の扉が付いており、通常、この扉は施錠されている。
電気系統の保守点検は専門業者に委託しており、突発的な事故発生時には、この保守点検を委託した業者が対応することになっていた。
災害が発生した当日、前日の午後8時30分頃に工場内が停電した連絡を受けた工場長である被災者は、午前7時に出勤し、工場電気設備の保守点検を委託している業者に連絡し、担当者の派遣を依頼した。この時点で、キュービクル内は、低圧および高圧の負荷に接続される開閉器は開路された状態であったが、受電盤の油入開閉器は閉じられていた。
被災者は、このキュービクルに赴き、受電盤と低圧盤の扉を開け、キュービクル内をのぞいていていたときに、被災したものである。
原因
この災害は、前日の終業直前に発生した停電事故の原因を調べるために、受電電圧6,600Vのキュービクル(受電設備)のコンクリート基礎台に上り、キュービクル受電盤の内部をのぞいていたときに発生したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。1 災害発生の直接原因 | |
(1) 被災者が受電盤の前につま先立って受電盤をのぞいていたところ、受電盤内の高圧油入開閉器から変圧器にいたる6,600V高圧配線に触れて感電したものと推定される。 (2) 工場長である被災者は、専門的な知識があったが、不用意にキュービクル内をのぞきこんだこと。 (3) コンクリート基礎台を踏み面として、バランスを欠いた不安定な姿勢で、受電盤内をのぞきこんだこと。 | |
2 災害発生の間接原因 | |
(1) キュービクル内変圧器が原因と推定される停電事故が発生したこと。 (2) 工場長であり、この事業場の安全管理の責任者でありながら、故障時の対応は専門業者に委託して行うという手順に従わなかったこと。 |
対策
この災害は、停電事故の原因を調べるために、受電電圧6,600Vのキュービクル(受電設備)のコンクリート基礎台に上り、キュービクル受電盤の内部をのぞいていたときに、発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 キュービクル内の点検また補修などの作業に際しては、通電状態をあらかじめ検電器具を用いて確認すること。
2 受電側断路器を開路し、検電器具により停電を確認してから作業を始めること。
3 停電作業ができないときは、絶縁用保護具または活線作業用器具を使用すること。
4 電力設備の保守管理については、専門的知識と技能を有する専門スタッフを配置すること。
5 キュービクル周辺は、安定した作業姿勢が確保できるように改善すること。
6 電気設備の管理は、日常的な管理と異常時の対応について具体的な役割分担について、手順を含めて定めること。
7 定められた手順が遵守されるように管理すること。
8 高圧充電電路を取り扱う業務に就く者に対しては、特別の教育を行うこと。