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労働災害事例

タンクローリーへの軽油積込作業中に爆発

タンクローリーへの軽油積込作業中に爆発
業種 一般貨物自動車運送業
事業場規模 30〜99人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 引火性の物
災害の種類(事故の型) 爆発
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:1人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 接地なし、不十分
発生要因(人) 分類不能
発生要因(管理) 分類不能

No.101143

発生状況

 この災害は、油槽所において、タンクローリーに軽油を積み込む際に発生した。
 このタンクローリーは、内部が7つのタンクに仕切られており、ガソリン、灯油、軽油または重油を合わせて最大20kl積載することが可能である。
 災害発生当日、タンクローリーの運転手Aは、1回目の業務(油槽所での積込み・顧客までの運搬・顧客先での荷卸し)を終え、2回目の業務のために油槽所に帰ってきた。
 2回目の積込みでは、Aはまず、4つのタンクに合計10klのガソリンを積み込み、続いて1つのタンクに灯油2klを積み込んだ。さらに残り2つのタンクに軽油8klを積み込むため、軽油積込施設にタンクローリーを移動させた。
 軽油積込施設にタンクローリーを止めたAは、油槽所が作成した「積込作業安全基準」に従って、タンクローリー本体の静電気を除去するためタンクローリーのアース用導線を積込施設のアース線設備(アースチャック)に接続するとともに、自身も人体除電バーにより静電気の除去を行った。その後、積込施設の上部のデッキ(タンクローリーの上部をほぼ同じ高さ)からタンクローリーの上に乗り、まず軽油4klを1つのタンクに積み込んだ。さらに隣のタンクに軽油を積み込む作業に取りかかったところ、突然、軽油を積込中のタンクの中で炎が上がり、その直後、爆発が起こった。さらにタンクローリー全体に火炎が燃え移り、タンクローリーの上にいたAの作業服にも火が燃え移った。Aは、急いで地上に降りて、水道水で作業衣の火を消した。
 一方、火災が発生したことを知った油槽所の作業者により初期消火が行われ、タンクローリーと軽油積込施設の一部を焼いたのみで、軽油積込施設の爆発や他の施設の延焼を食い止めることができた。
 Aは、すぐに病院に搬送されたが、火傷により休業9ヶ月の治療を要した。
 この油槽所の積込施設の積込用ホースは、タンクローリーのタンクの底まで届くようにドロップパイプと称する細いパイプがホースの先端に伸びる構造となっており、常にタンクの底で導通できるようになっていた。しかし、Aは、軽油積込作業時にドロップパイプを十分に伸ばさなかったため、先端がタンクの底に届いておらず、積込用ホースとタンクが導通していなかった。そのため、軽油が積込用ホース内で流動帯電し、ホースに蓄積した静電気によりホースとタンクの開口部の縁との間で火花がスパークした。
 さらに、この油槽所には、タンクローリーのタンク内に残留している可燃性蒸気を置換するガスパージ設備がなく、積込作業前にタンク内の洗浄も行っていなかった。このため、Aが軽油を積み込もうとしたタンクには、当日1回目の作業で積み込んだ灯油の蒸気がタンク内に充満しており、そこへ積込用ホースとタンクの間でスパークした火花が着火源となって灯油の蒸気が爆発した。
 また、この油槽所では、「積込作業安全基準」を定め、油槽所の作業者のほか、油槽所に立ち入る関係者すべてを対象に「積込作業安全基準」が確実に遵守されるように定期的に教育を行っていた。しかしながら、Aは軽油積込作業時にドロップパイプを十分伸ばしていなかった。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  軽油積込作業時にタンク内に可燃性蒸気が充満していたこと
 この油槽所には、タンクローリーのタンク内に残留している可燃性蒸気(ガソリン等の蒸気)を除去し不活性ガスに置換するガスパージ設備がなく、積込作業前にタンク内の洗浄も行っていなかった。そのため、軽油積込時に直前に運搬した灯油の蒸気がタンク内に充満していた。
2  静電気により火花がスパークしたこと
 軽油積込時に積込用ホースの先端がタンクの底に届いておらず、ホースとタンクが導通していなかった。そのため、軽油が積込用ホース内で流動帯電し、ホースに蓄積した静電気によりホースとタンクの開口部の縁との間で火花がスパークし、これが着火源となった。

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  タンクローリーへの積込作業の前に火災や爆発の原因となる可燃性蒸気を除去する設備を設置すること
 タンクローリーで運搬を行った後、引き続き積み込みを行うときには、タンク内のガスパージを行い、タンク内に残留している可燃性蒸気の除去を行うか、不活性ガスによる置換を行う。このための設備を設置することが必要である。
2  着火源となる静電気防止対策を確実に実施すること
 積込用ホースの先端をタンクの底面に確実に着けて積込みを行うようにする。
 その際、積込用ホースとタンクが導通していることを確認できるようにするとともに、その確認方法を「積込作業安全基準」に盛り込み、関係者に徹底することが重要である。