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労働災害事例

簡易リフトのトラブル処理中に転落して死亡

簡易リフトのトラブル処理中に転落して死亡
業種 建具製造業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) エレベータ、リフト
災害の種類(事故の型) 墜落、転落
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.798

発生状況

(1) 災害は、建具、木枠、造作家具の製造を行う木製建具製造業を営む工場内で発生した。
 建具作業員である被災者は、作業場所の工場の2階においてドアの製作を行っていた。ドアの製作は芯と呼ばれる骨組の製作、表板の貼付け、側板の貼付け、ドアノブ等の取付け、仕上げの工程の順番で行われていた。
 被災者は午前中にドアの骨組を5本製作したので、プレス機械を用いて表板の貼付けを行うため、プレス機械の設置してある1階へ降ろす作業に取りかかった。
 2階で5本のドアの骨組を簡易リフトに乗せたのち、5階に設置してある簡易リフトの下降を知らせるブザーを鳴らし「下降ボタン」を押した。被災者は階段を使って一階へ降りていったが、簡易リフトは一階まで下降してこず、一階の床面から1.2m上方のところで停止した。
 原因を調べるため被災者は5階で、同僚の1人は1階で調査を行っていた。被災者が2階の積卸口において、簡易リフトに乗せているドアの骨組の上部をつかんでいたところ、突然簡易リフトの搬器が動き出したため、被災者は3m下の1階の床に墜落し、死亡したものである。
(2) 簡易リフトは荷のみを運搬するために使用されており、床面積0.92m2である。積載荷重は不明である。
 この簡易リフトは約30年前に設置されたものであり、設置後、約15年経ったときに巻上機を交換しているが、定期的な検査を実施したことはなかった。また、簡易リフトの荷の積卸口には扉、柵等は設けられておらず、搬器にも扉、柵等は設置されていなかった。

原因

(1) 簡易リフトが途中で停止したため、被災者が開口部に向かって不安定な姿勢で作業を行っていたが、搬器および荷の積卸口に扉や柵が設けられていなかったため墜落したものである。
 簡易リフトの構造で、昇降路のすべての荷の積卸口の戸が閉じていない場合には、搬器を昇降させることができない装置が設けられていなかった。また、搬器が昇降路の荷の積卸口の戸の位置に停止していない場合に、かぎを用いなければ外から荷の積卸口の戸を開くことができない装置を設けていなかったこと等の「簡易リフト構造規格」の規定を具備していなかったこと。
(2) 簡易リフトを定期的に点検していなかったこと。
(3) 簡易リフトに係る作業手順が定められていないため、作業者が自らの判断で修理を行おうとしたこと。

対策

(1) 簡易リフトについては、安全性を確保するために、「簡易リフト構造規格」の規定を具備したものを必ず使用させるようにすること。
(2) 簡易リフトについては、作業開始前の点検、1月以内ごとに1回、および1年以内ごとに1回定まった事項について自主検査を確実に行うこと。