タイヤの空気充てん作業中、はじけ飛んだタイヤホイール部品に当たり死亡
業種 | 土木工事業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 金属材料 | |||||
災害の種類(事故の型) | 破裂 | |||||
建設業のみ | 工事の種類 | |||||
災害の種類 | ||||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.696
発生状況
この災害は、トラック5台を所有する土木工事会社において、発生した。災害は会社事務所付設の作業場で、トラック運転手が雪道用タイヤ(スタッドレスタイヤ)に交換するため、タイヤを分解し、空気圧縮機を用いて、タイヤ組立作業を行っているとき発生したものである。災害発生当日は、被災者を含め3名の運転手がトラックのタイヤ交換を行うことになり、被災者以外の2名がタイヤの分解を、被災者が雪道用タイヤの準備および組立を行っていた。交換していたタイヤ・ホイール・セットはトラックやバスに一般に用いられているサイドリング付きのものである(図1)。被災者は、タイヤにチューブを入れ、フラップと呼ばれるゴムを巻いてリムにセットし、サイドリングを取り付けた後、空気圧縮機(ゲージ圧9kg/cm2〜11kg/cm2)を用いてタイヤに所定圧力(7kg/cm2〜7.5kg/cm2)の空気充てんを行っていた。この作業中、「リングが合わない」と被災者が言った数秒後、大きな音がした。見ると被災者が倒れており、また、タイヤチューブが破裂し、サイドリングが飛んでいた。災害を目撃した者はいないが、タイヤの上にしゃがんで具合を見ていたとき、リングがはじけ飛んで被災したものと推定される(図2)。
原因
(1) サイドリングをリムに装着後、空気充てんを行う前に、リングがリムに確実にかみ合っていたかどうかをリングの全周にわたって確認することが徹底されていなかったこと。(2) 空気充てんを行うとき、タイヤを入れる安全囲いを設置することや、安全バーをリムの飾り穴に差し込むことなどのサイドリングの飛来防止措置がとられていなかったこと。
(3) 空気圧縮機に減圧弁などの圧力調整装置を設置していなかったこと。
対策
(1) タイヤ空気充てん作業を行わせるときは、安全囲い、安全バーなどの飛来防止の器具を設け、これを使用させ、かつ空気圧縮機に減圧弁などの圧力調整装置を設置し、タイヤの種類に対応した空気圧に調節させること。(2) タイヤ空気充てん作業に作業者を従事させるときは、事前にこの作業に関する安全教育(現在は特別教育)を受講させ、安全な作業方法を徹底させること。
(3) タイヤ・ホイール・セット部品の点検、リムとサイドリングのかみ合い状態の点検などを含んだ作業標準を作成し、これを順守させること。