パンク修理後のタイヤの空気充てん作業中、サイドリングが飛来
業種 | 各種商品小売業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 整地・運搬・積込み用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.503
発生状況
サイドリング付き自動車用タイヤは、図1に示す構造のもので、トラック、バス等に広く用いられているものであり、一般に空気圧が8kg/cm2以下で用いられている。この災害では、モーター・グレーダー(車両系建設機械)に取り付けられたサイドリング付き自動車用タイヤのパンク修理後、タイヤを車体に取り付け、空気圧縮機を用いてタイヤに空気を充てん中に、このタイヤのサイドリングが外れ、空気充てん作業を行っていた作業者に飛来し、被災したものである。被災者は、各種タイヤの販売、修理等を行う会社に長年勤務してきた、タイヤ修理のベテラン作業者であるが、「タイヤの空気充てんの業務に係る特別教育」を受講していなかった。
サイドリング付きタイヤの組立て作業の概要は、
[1] ホイール、サイドリング、チューブ、タイヤ、フラップを確認
[2] 接着防止剤を塗り、チューブに微量の空気を入れ、チューブ、タイヤ、フラップを水平に置かれたホイールに組み込み
[3] サイドリングの切れ目の一端をホイール溝に噛み合わせ
[4] 順次サイドリングをホイールに装着
[5] サイドリングの切れ目の間隔を確認
[6] タイヤに空気を充てんする
ものである。被災者は、パンクしたタイヤを会社に持ちかえり、作業場でパンク修理を行い、サイドリングをホイールに装着した後、タイヤを車体に取り付けるため、現地へこのタイヤ、空気圧縮機等をトラックで運び、車体に取り付けた後、持ってきた空気圧縮機(最高使用圧力:14kg/cm2)によりタイヤに空気を充てん中、破裂音とともにサイドリングが飛来して当たり、被災した(図2)。被災者は、保護帽を着用していなかった。
原因
[1] タイヤの空気充てん作業に用いた空気圧縮機に、タイヤの種類に応じた空気圧に調節できる装置を取り付けていなかったこと。[2] タイヤの空気充てん作業に、安全囲い等サイドリングの飛来防止のための器具を設けていなかったこと。
[3] タイヤの空気充てんの業務に係る特別教育を受けていなかったこと。
[4] タイヤの空気充てん作業前のサイドリング等の装着状況の確認方法等を作業標準に定めていなかったこと。
対策
[1] タイヤの空気充てん作業に用いる空気圧縮機には、減圧調節弁、エア・トランスホーマ等の圧力調節装置を取り付けること。[2] タイヤ修理作業場にタイヤ空気充てん用の安全囲い等を設け、出張作業時のためのタイヤ空気充てん用の安全ネット等を備えること。
[3] タイヤの空気充てんの業務に係る特別教育を、タイヤ修理作業に関する経験豊富な者に対して、未実施の場合、これを実施すること。
[4] サイドリングの装着状況の確認方法、タイヤのホイールへの装着状況の確認方法、タイヤ空気充てんの作業方法等を作業標準に定めること。