簡易リフトのワイヤロープが乱巻きとなり切断し、搬器とともに落下
業種 | 製材業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | エレベータ、リフト | |||||
災害の種類(事故の型) | 飛来、落下 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.427
発生状況
災害発生の原因となった簡易リフトは、建築用製材・販売業を営むA事業場の倉庫に設置されていたものである。この簡易リフトは、昭和44年に設置されたもので、その概要は次のとおりである。
積載荷重
・ 400kg
搬器の大きさ
(1) 床面積
・ 1.6m2
(2) 天井の高さ
・ 2.7m
昇降方式
・ ホイスト式
災害が発生した当日、A事業場に住宅関連商品を納入しに来たB事業場の被災者が、この簡易リフトを使用して、初めに重量約15kgの断熱材を搬器に積み込み、指定の3階へ荷上げの操作を行った。
被災者は階段を上り3階へ行き搬器から荷を取り出し、置場へ収納した。その後、次の荷を1階倉庫へ収納するため、3階で停止していた搬器に乗り込み操作用押しボタンを1階に押したところ、搬器つり下げワイヤロープ(直径8mm)が切断して約6.8m下の1階床上に搬器とともに落下したものである(図1)。
原因
[1] 簡易リフトは荷専用であるにもかかわらず乗ったこと。[2] ワイヤロープは、ホイスト能力から6mの仕様であるのに揚程を改造し6.8mとしていたこと。このため、ホイストドラムに乱巻きが生じたとともに、ワイヤロープにたわみができ、図2のように巻き上げの状態となった。
[3] 巻き上げの状態となったが、過巻防止装置が作動せずワイヤロープを巻き切ったこと。
[4] ドアインターロック等の安全装置がなく、簡易リフトの構造要件が具備されていなかったこと。
対策
[1] 簡易リフトの出入口には、積載荷重、用途等を表示すること。[2] 能力を超えた改造は禁止するとともに、定期自主検査を実施し、安全装置等の機能を保持させること。
[3] 昭和46年以前に設置等が行われた簡易リフトにあっては、簡易リフト構造規格に定める要件が具備されていればその後においても簡易リフトとして法令上取り扱われているが、本件のように同規格を満たしていないことや、搬器の大きさ等からエレベーターとして適用され、エレベーター構造規格に適合するものとして改善をする必要があることに留意すること。