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労働災害事例

タイヤのサイドリングが飛ぶ

タイヤのサイドリングが飛ぶ
業種 自動車整備業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) その他の圧力容器
災害の種類(事故の型) 飛来、落下
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.414

発生状況

災害発生当日は、朝から夏用タイヤを冬用タイヤに交換する作業を行っていた。1人はタイヤホイールセットを分解し、他の1人は冬用タイヤに取り替え、それを組み立てるという作業分担をしていた。5本目のタイヤの組み立てを終え、それまでと同様にエア・コンプレッサーからタイヤチューブに空気を注入していたところ、突然チューブが破裂し、サイドリングがはじけ飛んで、この作業をしていた者を直撃した。
 本件のタイヤホイールセットは、トラック、バス等の大型車両に用いられる、いわゆるリング付きタイヤであり、次頁図1のような構造になっている。
 このタイヤの所定空気圧は7kg/cm2であり、エア・コンプレッサーには、9kg/cm2、11kg/cm2でオン・オフする圧力スイッチおよび9kg/cm2にセットされた減圧弁が付いていた。
 なお、事故後の調査によれば、サイドリング、リム、タイヤ自身には破損等の異常は認められなかった。

原因

(1) サイドリングがリムの溝に確実にかん合していない状態で空気を注入したため、タイヤの圧力を支えきれない部分が生じ、チューブが破裂し、その衝撃力でサイドリングが飛んだ、
(2) タイヤとリムの間に、チューブをはさみ込んだ状態で空気注入を行ったため、チューブが破裂した、と推定される。
 また、空気注入の際に安全囲い(図2)や安全バー(図3)が使用されていなかったことも、災害発生の間接的原因である。さらに、この種の災害ではコンプレッサーからの空気圧が高過ぎて、チューブが破裂する事故が発生している。

対策

(1) チューブに軽く空気を注入した段階で、サイドリングとリムおよびタイヤとリムのかん合状態を確認し、徐々にチューブ内の空気圧を上げること
(2) エア・コンプレッサーからの空気圧を所定の圧力以上にしないこと(必ず減圧弁を設ける)
(3) 空気注入作業時には、安全囲いまたは安全バーを必ず使用し、かつ身体はできる限りタイヤから離すこと
 等が挙げられる。
 タイヤの交換作業は、自動車整備業のみならず、他の業種においても数多く行われており、事故が発生すると重大な災害になる可能性が高い作業である。(1)〜(3)に挙げた対策以外にも、タイヤ、チューブ、ホイールのフランジ部の損傷の有無の確認、適切な工具の使用等も当然必要であり、各事業場でこのような作業を行わせる場合には、当該作業について熟知している者による特別教育に準ずる教育を実施することが強く望まれる。