厚生労働省車軸から抜けないタイヤホイールをハンマーでたたいたところタイヤが破裂して死亡
| 業種 | 特定貨物自動車運送業 | |||||
|---|---|---|---|---|---|---|
| 事業場規模 | 30〜99人 | |||||
| 機械設備・有害物質の種類(起因物) | 移動式クレーン | |||||
| 災害の種類(事故の型) | 破裂 | |||||
| 被害者数 |
|
|||||
| 発生要因(物) | ||||||
| 発生要因(人) | ||||||
| 発生要因(管理) | ||||||
No.34
発生状況
(1) 被災者Aの属する甲運送会社は、PCコンクリート橋桁等建設構造物を主として輸送し、トラック、トレラーの外に移動式クレーン7台を有している。(2) 被災日前日、当社作業者Bが出張先よりトラッククレーン(つり上げ荷重150t)を運転して帰社した際、タイヤの[B]及び[C]の空気圧の低下に気付き、責任者にその旨を報告、責任者はAとBに当該タイヤの空気圧の調整方を指示した。
(3) 被災当日の午前9時前より、被災者Aと同僚Bの2名は責任者の指示に基き、トラッククレーンの後部左側複輪内側のタイヤ2本の空気圧調整(空気の充てん)を行う予定で作業を開始した。
(4) [B]及び[C]のタイヤに空気を充てんするためには外側のタイヤを取り外す必要があったため、[A]のタイヤを取り外す作業を行っていた。
(5) 後部複輪外側のタイヤ([A]を含む4本)は、リムベースと車軸(リアリスクトルクアーム)のすき間にL字型のクサビ(リムクランプ)を12個差し込み、リムナットで固定する方法で取り付けられている。
(6) [A]のタイヤを車軸から取り外すため、リムナット12個全部取り除いたが、クサビ(リムクランプ)が車軸とリムベースの間から抜けなかった。そこで、被災者Aは[A]のタイヤ及びリムベースに衝撃を加えれば、クサビが抜けるものと考え、用意していた12インチのハンマーで野球の左バッターがバットスイングするようにタイヤ及びリムベースを3〜4回たたいた。
(7) 次の瞬間、リムベースのツメの部分が全体にわたって破断した。そのためタイヤ内のチューブ(約8kg／cm2に空気が充てんされている)が急激に膨張し破裂した。その結果、破裂した瞬間の圧力によってタイヤ自体が車軸から飛び出し、被災者Aに激突したものである。
原因
(1) 上記のとおり、破断原因となる方法(上記6の(2)の(ロ))により行っていたこと。(2) クレーン等安全規則及び道距運送車両法に基く法定点検時において、リムベースの亀裂損傷を発見できなかったこと。
(3) タイヤ空気充てん業務にかかる安全教育を実施していなかったこと。
対策
(1) 前記の破断原因となる取り扱いを行わないこと。(2) リムベースの亀裂、損傷の有無について点検を行うこと。
(3) タイヤ空気充てん業務にかかる安全教育を実施すること。
(4) 安全な作業手順を定め、関係者に徹底すること。