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船倉内で鉱石の搬出作業中に、作業者1人及び救助に向かった2人の作業者が酸素欠乏症で死亡

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発生状況
 この災害は、製錬所で鉱石運搬船から鉱石を荷揚げする作業中に発生した。
 製錬所構内の岸壁(バース)に接岸された鉱石運搬船には第1船倉から第4船倉まで4つの船倉があるが、災害発生時には第1船倉と第3船倉のハッチは全開され、第2船倉と第4船倉のハッチは閉じられていた。
 朝8時半頃、4人の作業者が、荷揚げする「銅精鉱」を船倉の中央部に掻き寄せるためのドラグ・ショベルに玉掛けし、揚貨装置運転者Gがつり上げて船倉内に降ろそうとしたときに、船倉の昇降口に近い甲板にいた作業者Bから、「船倉が臭いので中に入られん。待っておけ。」と無線連絡があったので待っていた。
 しかし、その直後にBから降ろすよう合図があったのでドラグ・ショベルを降ろす作業を開始し、ドラグ・ショベルが銅精鉱の上約1mのところに到達したとき、船倉内の昇降設備下部の踊り場から垂直はしごに乗り移ろうとしていたBが墜落した。
 これを見た作業者Cは、無線で事務所に連絡を試みたが応答がなかったので、作業者Dに「Bさんが倒れた。」と大声で連絡した。
 このとき、バースにあるアンローダーの運転者Eは、異変に気づき事務所倉庫に1台あった空気呼吸器を取りに行って第3船倉の昇降口に到着した。また、異変を伝え聞いた荷役責任者FとバースにいたAが少し遅れて到着し、二人はBを救助するため船倉内にすぐに降りて行き、Eも空気呼吸器をその場に置いたまま二人の後を追ったが先に入ったFが倒れたので、AとEは甲板上に引き返したのち、鉱石運搬船の船員から手渡された呼吸用保護具を着用して再度船倉内に入った。しかし、Eは体の自由がきかず意識が遠くなっていくような感じがしたため、甲板に引き返して助かったがAは船倉内で倒れた。
原因
 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  船倉内が酸素欠乏状態になっていたこと
 船倉に積み込まれていた銅精鉱(硫化鉱)には、銅28%、鉄27%、硫黄30%、二酸化ケイ素7%等が含まれており、空気中の酸素を吸収する性質があった。
 そのため、鉱石が空気中の酸素を吸収し、換気が不十分だったため船倉内の酸素濃度が18%以下の酸素欠乏状態になっていた。
2  酸素濃度の測定が不適切であったこと
 船倉内の空気中の酸素濃度の測定を行った作業者が、適正な測定方法や測定位置等に関しての知識等が不足していたため、船倉内へ降りる昇降口の直下の場所について酸素濃度の測定を実施していなかった。
 また、会社が定めた酸素濃度測定の作業標準書には、船倉内の測定点の数、垂直方向及び水平方向の測定点が具体的に示されていなかった。
3  空気呼吸器等の数が不足していたこと
 酸素欠乏危険場所における作業で酸素欠乏症等にかかった作業者を救出するために必要な空気呼吸器等の数が、作業に従事する作業者の数に対して不足していた。
 また、救出のため船倉内に入った作業者が、空気呼吸器等を使用していなかった。
4  安全衛生教育等が不十分であったこと
 酸素欠乏危険場所で作業を行う者に対して、酸素欠乏症等に関する安全衛生教育を十分に行っていなかった。
 また、緊急時の救出作業についての手順等が定められておらず、また、空気呼吸器等の取り扱い方法等に関する教育訓練も行われていなかった。
対策
 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  船倉内の換気を十分に行うこと
 硫化鉱その他空気中の酸素を吸収する物質を入れてある船倉等は酸素欠乏危険場所であり、この場所で作業を行わせる場合には、空気中の酸素濃度が18%以上になるように十分な換気を行うとともに、作業開始前に酸素濃度の測定を適正に実施する。(令別表第6条第5号、令第21条第9号、酸欠則第3〜5条)
2  作業人員と同数以上の空気呼吸器等を準備すること
 酸素欠乏危険のある船倉内で作業を行わせる場合には、あらかじめ作業人員と同数以上の空気呼吸器等(空気呼吸器、酸素呼吸器又は送気マスク)を準備する。また、その日の作業を開始する前に、空気呼吸器等を必ず点検し、異常を認めたときは直ちに補修する。(酸欠則第5条の2、第7条)
3  酸素欠乏危険作業主任者を選任すること
 酸素欠乏危険のある船倉内で作業を行わせる場合は、酸素欠乏危険作業主任者又は酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者技能講習を修了した者の中から作業主任者を選任し、作業方法の決定、酸素濃度の測定、空気呼吸器等の点検と使用状況の監視等を確実に行わせる。
 また、監視人を配置して常時作業の状況を監視させる。(酸欠則第11条、第13条)
4  酸素欠乏危険等に関する特別教育を実施すること
 酸素欠乏危険のある船倉内で作業を行わせる作業者に対しては、あらかじめ次の内容の特別教育を実施する。(酸欠則第12条)
 [1] 酸素欠乏の発生の原因
 [2] 酸素欠乏症の症状
 [3] 空気呼吸器等の使用の方法
 [4] 事故の場合の退避及び救急そ生の方法
 [5] その他酸素欠乏症の防止に必要な事項
業種 非鉄金属精練・圧延業
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 異常環境等
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:3人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) その他保護具を指定していない
発生要因(人) 憶測判断
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行
NO.101274
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