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労働災害事例

荷物用リフトの搬器に作業者が乗り込もうとして、搬器と積卸し口の枠との間にはさまれて死亡

荷物用リフトの搬器に作業者が乗り込もうとして、搬器と積卸し口の枠との間にはさまれて死亡
業種 その他の食料品製造業
事業場規模 30〜99人
機械設備・有害物質の種類(起因物) エレベータ、リフト
災害の種類(事故の型) はさまれ、巻き込まれ
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 設計不良
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 安全装置をはずす、無効にする

No.101226

発生状況

 この災害は、食料品製造工場において、1階と2階の間で食材等を運搬する荷物用リフトの搬器に、荷とともに乗り込もうとした作業者が、搬器と積卸し口の枠との間にはさまれたものである。
 災害発生当日、作業者A〜Cの3人は夜勤に就くため夕方に出勤し、AとBが食料品製造用機械の洗浄を行い、Cが冷蔵庫の食材をフォークリフトと荷物用リフトを使って1階から2階に運搬する作業に、それぞれ取り掛かった。作業を開始して約2時間後、AとBが機械の洗浄を終え、冷蔵庫の食材を2階に上げる作業をしていたCを手伝うため、1階の荷物用リフトの前まで行ったところ、搬器が2階に上がっていた。そこで、搬器を1階に下ろすと搬器に食材が載ったままだったので、Aは、Bに搬器に載っている食材を2階に降ろすよう指示した。指示されたBは、食材とともに荷物用リフトで2階に上がろうと搬器に乗り込んだところ、上昇し始めた搬器と積卸し口の枠との間にはさまれた。Bはすぐに病院に運ばれたが、死亡した。
 災害が発生した荷物用リフトは、1階床面と2階天井の間に取り付けられた1本のガイドレールにラックピニオンの昇降装置が組み込まれ、これに取り付けられた搬器が昇降する仕組みのものである。搬器は、天井がない形のもので、床面積0.97m2、積載能力240kgのものである。また、昇降装置は、縦70cm、幅40cm、高さ30cmの箱に納められている。
 搬器とガイドレールは昇降路で囲まれ、1階と2階に設けられた幅1.3m、高さ1.8mの積卸し口には観音開きの扉が取り付けられており、リミットスイッチにより扉を閉じていなければ搬器が昇降しないようになっていたが、以前からリミットスイッチにテープが貼られ、扉を開けたままの状態でも搬器を昇降できるようになっており、搬器に作業者が乗って昇降操作をすることが可能となっていた。
 工場では、荷物用リフトの搬器に搭乗することを禁止していたが、作業者に対して周知徹底していなかった。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  積卸し口の扉が開放している状態では、搬器が昇降しないようにするリミットスイッチにテープが貼られ、扉を開けたまま作業者が搬器に乗り、搬器の昇降を操作できるようになっていたこと
2  作業者に対して、荷物用リフトへの搭乗禁止を周知徹底していなかったこと

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  すべての積卸し口の扉を閉じないと、搬器を昇降させることができない構造とすること
 積卸し口の扉を閉じないと搬器を昇降させることができないようにするためのリミットスイッチは、作業者が容易に無効にできない構造のものとする。また、作業者が搬器に乗って昇降操作を行うことができないように、操作用押しボタンは深く押し続けないと搬器が停止するものとする、扉越しに操作できないように扉を手の指が入らないような鉄網とする等の改善を行う。
2  作業者に対し、荷物用リフトの搬器に搭乗しないように周知徹底するとともに、作業場にその旨表示すること