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労働災害事例

ダイカストマシンに金型取付け作業中、爆発が発生して作業者が火傷で死亡

ダイカストマシンに金型取付け作業中、爆発が発生して作業者が火傷で死亡
業種 非鉄金属鋳物業
事業場規模 30〜99人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 可燃性のガス
災害の種類(事故の型) 火災
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:1人
不休者数:1人 行方不明者数:0人
発生要因(物) その他
発生要因(人) 省略行為
発生要因(管理) その他

No.101218

発生状況

 この災害は、ダイカストマシンを用いて非鉄金属の鋳物を製造する工場で発生したものである。
 災害発生当日、作業者Aは、ダイカストマシンに金型を取り付ける作業を行っていた。天井走行クレーンで金型をつり、ダイカストマシンにセットしようとしたところ、突然、爆発が発生し、その炎でAは火傷を負った。また、消火活動を行った作業者BとCの2人も火傷を負った。3人は病院に搬送されたが、Aは数日後に死亡した。
  火災が発生した付近には、ブタンガス(LPガス)を燃料とする手持ち式ガスバーナーが放置されていた。このガスバーナーは金型の形状が複雑な場合に金型を加熱し、金型の温度を上げておくために使用するものであったが、当日取り付けていた金型は加熱が必要なものではなく、ガスバーナーは使用していなかった。
 火災は、この手持ち式バーナーの元バルブと手元バルブを前日の作業で確実に閉めていなかったため、燃料のブタンガスが漏れて周囲に滞留していたところに、金型とダイカストマシンが当たって発生した火花が着火源となって爆発したものであった。工場では、ガス漏れ警報機を設置しておらず、作業者は誰もガス漏れに気づいていなかった。
 また、手持ち式ガスバーナーの管理については、保管場所、管理責任者を明確にしていなかったほか、作業手順書を作成していなかった。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  手持ち式バーナーのバルブを完全に閉めていなかったこと
2  工場にガス漏れ警報機を設置していなかったこと
3  手持ち式ガスバーナーの保管場所、管理責任者を明確にしていないほか、作業手順書を作成していなかったこと

対策

 同種災害防止のために、次のような対策の徹底が必要である。
1  手持ち式バーナーの使用後は、バルブが完全に閉まっていることを確認すること
 手持ち式バーナーを使用した後は、バルブが完全に閉まっていることを確認し、ガス漏れが発生しないようにする。
2  工場にガス漏れ警報機を設置すること
 ブタンガス等、可燃性ガスの多くは、空気より重く、床面付近に滞留するので、ガス漏れ警報機の設置場所に注意する。また、ガス漏れ警報機の点検を定期的に実施することも重要である。
3  手持ち式ガスバーナーの保管場所、管理責任者などを明確にするとともに、これを使用する作業について作業手順書を作成し、作業者に徹底すること