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労働災害事例

プレス作業中、上金型が破損し飛来

プレス作業中、上金型が破損し飛来
業種 その他の金属製品製造業
事業場規模 5〜15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) プレス機械
災害の種類(事故の型) 飛来、落下
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 設計不良
発生要因(人) 憶測判断
発生要因(管理) その他

No.101201

発生状況

 この災害は、圧力能力が100トンの油圧プレスを使用して錨(いかり)の爪(重量4kg、材質は鉄)の曲げ加工を行なっているときに発生した。
災害発生当日、作業者Aがプレスの油圧ポンプに取り付けられているレバーを操作して油圧シリンダの加圧力を調整し、材料を押し曲げる作業を行っていたところ、上金型が破損し、その破片が油圧プレスの前方で操作をしていたAを直撃した。Aは直ちに病院に運ばれたが死亡した。
 当該油圧ポンプの圧力スイッチは約700kg/cm2に調整されており、このとき上金型に掛かる最大荷重は約100トンであった。これに対し、上金型自体の破断荷重(材料(上金型)に破壊が生じる時の荷重)が約61トンと推定されたことから、プレス作業時に破断荷重を超える加圧力が上金型に掛かかり、このため上金型が破損し破片が飛散したものである。
 今回、被災した作業者Aは、アルバイトとして雇用され、当該作業に初めて従事したもので、油圧ポンプのレバー操作等について習熟していなかったため、油圧シリンダのレバー操作を誤り上金型に過大な加圧力を掛けてしまい上金型が破損したものである。
 また、当該油圧プレスは、プレス機械が発生し得る最大の圧力能力を考慮して十分な強度を備えた上金型を使用していなかったことに加え、圧力スイッチが上金型の強度以下に設定されていることを常時確認できるシステムでなかった。
 なお、当該工場では、新たにプレス作業に就く作業者に対して、作業標準に基づいた安全衛生教育を行っていなかった。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  上金型に掛かる最大荷重に対し、十分な強度を備えた上金型でなかったこと
2  圧力スイッチが上金型の強度以下に設定されていることを常時確認できるシステムを設ける等、プレスの設計段階で十分な安全対策がとられていなかったこと
3  プレス作業に習熟していない作業者Aに、プレス機械の油圧シリンダのレバー操作を行わせたこと
4  新たにプレス作業に就く作業者に対して、作業標準に基づいた安全衛生教育を行っていなかったこと

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  プレス機械が発生し得る最大の圧力能力を考慮して、十分な強度を備えた上金型を使用すること
2  圧力スイッチが上金型の強度以下に設定されていることを常時確認できるシステムとすること
3  プレス機械の油圧シリンダのレバー操作は、十分習熟している作業者に行わせること
4  新たにプレス作業に就く作業者に対して、作業標準に基づいた安全衛生教育を行うこと