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鉄製コイル製造ラインでダストボックスの粉じんが爆発し、火傷を負う

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発生状況
 この災害は、鉄製コイル製造ラインの前処理作業における除じん工程でダストボックスの鉄粉じんが爆発し、作業者1名が火傷を負ったものである。
 災害が発生した工場での鉄製コイル製造ラインの除じん工程は以下のとおりである。
 コイル製造のための前処理として、帯状の長い鉄材がコンベアにより囲い式フード内に設置されたベルトサンダ−へ自動供給され、ベルトサンダーで鉄材の研磨を行う。研磨を行った鉄材は自動排出されるが、その際に発生した鉄粉じんを含んだ空気を搬送ダクト(長さ26m)でサイクロン式除じん装置に搬送する。このときダクト内は、研磨の際の摩擦熱で一部火の粉状態となった鉄粉じんにより30〜50℃に熱せられる。
 高温鉄粉による燃焼・爆発防止のため、不燃性の炭酸カルシウムをダクトに吹込む工程があり、長距離のダクト内を搬送することにより、鉄粉じんを含んだ熱せられた空気が冷却されるように設計されている。
 その後、鉄粉じんを含んだ空気はサイクロン式除じん装置を通ってバグフィルター式集じん機に搬送され屋外に排気される。
 災害当日、作業者Aは、サイクロン式除じん装置とダストボックスの間に設置されていた温度センサーの警報が鳴りラインが自動停止したので除じん装置を点検したところ、除じん装置の外壁は特に熱くなかったので、除じん装置下部のダストボックス内を点検するためにダストボックス上部の蓋を開けた途端に爆発が起こり、その爆風で火傷を負った。
 当該装置に設置されていた温度センサーは、設計時の設定温度は80℃であったが、災害当日は100℃に設定されていた。
当該事業場では、爆発の着火源となった研磨作業で発生した鉄粉じんの火の粉を、発生個所付近で消火する等の爆発防止対策を実施していなかったことに加え、熱せられた粉じんを含んだ空気の冷却用に、炭酸カルシウムをダクト内に定期的(30分ごと)に吹込んでいたが、ダクトに吹込んだ炭酸カルシウムはバグフィルターに堆積したものを再利用していた。
 また、当該事業場では、定常作業の作業手順書は作成されていたが、異常時に対応する作業手順書は作成しておらず、異常時には管理責任者に連絡することになっていたが、被災者は連絡をせず個人の判断で処理を行っていた。
 さらに、作業者に対し、鉄粉じんによる爆発の危険性等についての安全衛生教育も行われていなかった。
原因
 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  温度センサーの設定温度を誤っていたこと
 鉄粉じんを含んだ空気の温度を検知して異常の場合はラインを停止させる温度センサーの本来の設定温度は、80℃であったにもかかわらず、これを100℃に設定していた。そのため、危険な状態になるまでラインが稼動し続け爆発につながった。
2  爆発防止対策が不十分であったこと
 当該事業場では、爆発の着火源となった研磨作業で発生した鉄粉じんの火の粉を、発生個所付近で消火する等の爆発防止対策を実施していなかった。
 また、炭酸カルシウムは、新品のものを使用する決まりであったが、実際には使用済みの鉄粉じんが混入した炭酸カルシウムを繰り返し使用していたため、ダクト内の鉄粉じん濃度が高まり、ダクトボックス内での粉じん爆発の要因になった。
3  異常時における作業手順が定められていなかったこと
 温度センサーが作動したとき(異常時)の作業手順が作成されていなかったことに加え、作業者は異常が起きたことを管理責任者に報告をせずに、自分の判断で処理を行っていた。また、鉄粉じんによる爆発の危険性等についての安全衛生教育が実施されておらず、非常時の作業に備えた保護衣等も準備されていなかった。
対策
 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  温度センサーの設定温度を適正に行うこと
 鉄粉じんを含んだ空気の温度を検知し、設定温度以上になった場合ラインを停止させるための温度センサーを、本来の設定温度に戻し、これを厳守すること。
2  爆発防止対策を適切に講じること
 ダクト内に恒常的に火の粉がある状態を防ぐために、研磨の直後に火の粉を消火するための設備を設置する。また、炭酸カルシウムを吹込む場合には、温度上昇と連動させるとともに、その有効性を常時モニタリングできるような仕組みとする。さらに、火の粉を消すための炭酸カルシウムは新品のものを使用することを徹底する。
3  異常時の作業手順を定め、安全衛生教育を実施すること
 温度センサーが作動したとき等の異常時の作業手順を作成して関係者に周知徹底するとともに、作業場の見やすい場所に掲示する。
 作業者に対して、鉄粉じんによる爆発の危険等について安全衛生教育を実施し、非常時に備えて保護衣、保護具等をあらかじめ準備しておくことが必要である。
業種 その他の鉄鋼業
事業場規模 300〜999人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 金属材料
災害の種類(事故の型) 高温・低温の物との接触
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:1人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 防護・安全装置が不完全
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 安全装置の調整を誤る
NO.101125
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