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建築用古紙再生パルプ製造工場で発生した粉じん爆発

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発生状況
 この災害は、古紙から建築用外壁などの材料となる綿状パルプを製造する工場において発生したものである。
 災害が発生したのは、販売店から購入した未販売の雑誌、新聞紙等の古紙を粉砕、分別して、綿状パルプを製造し、貯蔵する製造ラインで、古紙の1次粉砕機、スクリューコンベヤー、金属片と紙を分ける分離機、さらに粉砕して綿状パルプにする2次粉砕機、綿状パルプを移送する空気コンベヤーおよび綿状パルプを貯蔵するためのタンクからなっている。
 災害発生当日、関係作業者は、朝礼の後、それぞれの持ち場に別れて作業を開始し、2時間半ほど経過したときに綿状パルプが貯蔵されているタンクが突然爆発し、火災が発生した。
その際、貯蔵タンクのフランジ部分が裂けて火のついた綿状パルプが噴出し、古紙の投入作業をしていた作業者Aを直撃し、さらに周囲で作業を行っていた作業者数人にも火の粉がふりかかった。
 その後、工場内の電源が切断されるとともに、二酸化炭素消火装置が作動して製造ラインの火災が消火された。
 この爆発火災で、作業者Aをはじめとする4人が火傷を負い、Aは搬送された病院で死亡し、他の作業者は2人が6ヶ月の休業、1人が不休の災害を被った。
 貯蔵タンクの爆発は、分離機において金属片と紙の分離が完全ではなかったため、2次粉砕機に送られた紙にステープラの針等の金属片が混入していて、2次粉砕機のカッターとケーシングで削られた際に火花が発生し、この火花が綿状パルプに燃え移り、さらにその火が空気コンベヤーのダクトを経て貯蔵タンクへ移り、タンク内の綿状パルプに引火して粉じん爆発を起こしたものであった。この製造ラインには、金属を検知するセンサーは設けられていなかった。
 また、製造ラインに設けられた二酸化炭素消火装置を作動させるための温度センサーは空気コンベヤーのダクトに1カ所設けられたのみであり、かつ警報を発する温度を100℃と高めに設定していたため、2次粉砕機で火災が発生した初期の段階での消火ができなかった。
原因
 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  金属片の除去が不十分であったこと
 分離機において、古紙に紛れ込んだステープラの針等の金属片の除去が不十分であったほか、製造ラインに金属を検知するセンサーが設置されていなかった。
2  温度センサーの設定温度が適切でなかったこと
 二酸化炭素消火装置の温度センサーの設定温度を100℃と高めに設定し、さらに製造ラインに温度センサーが1個所しか設けられていなかったため、2次粉砕機で綿状パルプに引火して火災が発生した初期の段階で警報を発することができなかった。
3  安全衛生教育が不十分であったこと
 原料の古紙等への金属の混入によって生じる危険性等、製造工程上の問題について十分に検討されていなかった。また、安全衛生教育も十分に行われていなかった。
対策
 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  金属片の除去を確実に行うこと
 雑誌等の古紙に紛れ込んだステープラの針等の金属片の除去を確実に行うとともに、必要に応じて分離機の追加、金属を検知するセンサーの設置等を行う。
 また、2次粉砕機等で発生した火花により火災が発生する可能性がある装置に関しては、粉じんが堆積しないよう作業後のほか、作業中にも随時、清掃を行うことが重要である。
 なお、綿状パルプの原料となる新聞紙、雑誌等の古紙を納入する業者に対してもステープラの針等の金属片の分別、除去を徹底させることも重要である。
2  消火装置の温度センサーの設定温度を低くすること
 二酸化炭素消火装置の温度センサーの設定温度については、火災発生の初期段階で消火できるような温度とするともに、温度センサーを複数箇所設置する。
3  製造ラインの危険な作業について評価し、その結果に基づいて安全衛生教育を実施すること
 金属片の混入によって生じる製造工程上の危険性などについてリスクアセスメント等により評価し、その結果に基づいて関係作業者に対して安全衛生教育を十分に行う。
業種 紙加工品製造業
事業場規模 16〜29人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 引火性の物
災害の種類(事故の型) 爆発
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:2人
不休者数:1人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 設計不良
発生要因(人) 分類不能
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行
NO.101124
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