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ガス式スチームアイロンのボンベのガス抜き中にブタンガスが炎上

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発生状況
 この災害は、製造中止となった家庭用ガス式スチーマーのガスボンベの廃棄処理中に発生したものである。
 被災者の所属する会社は、大手電器メーカーの構内で家庭用各種アイロンの組立を行うため常態として26名の作業員を派遣している構内下請会社である。
 災害発生当日はメーカーの事業整理のため販売中止となったコードレスガス式スチ―マー(家庭用アイロンの一種)の燃料用ブタンガスボンベ約4,000本の廃棄処分を行うことになった。
 作業は、
(1)  製品として梱包されていたダンボールからコードレスガス式スチーマーを取り出して、中にある廃棄する2種類のボンベ(ガス充填量130gのものと40gのもの)を取り出す
(2)  缶切りやアイスピックを使用してボンベの底、胴部分に穴を開け、中のガスを大気中に放出する
(3)  空ボンベを回収用ダンボール箱に集め、他の廃棄物とともに産業廃棄物処理業者に引き渡す
という手順で行われることになった。
 作業の指揮は電器メーカーの環境保護推進担当係長が行った。この日の朝は、外気温が低く、風も強いことから作業者の防寒対策のためガス抜き作業は屋外駐車場ではなく、管理棟横の通路に変更することにした。午前9時頃から被災者3名に、ガスは冷たいので手に掛けないようにすること、ガスは全て出し切ること、煙草は吸わないこと等を指示し、自分は別の場所へ行った。
 係長がその場を立ち去った後、3名でガス130g入りボンベ132本、40g入りボンベ30本の処理が終わった午前9時15分頃、付近に残留していたと考えられるブタンガスが突然炎上して3名は炎に包まれ、被災者AとBは顔面に休業2〜3週間の火傷、被災者Cは着衣に火が燃え移ったことから上下肢に休業4週間の火傷を負った。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 空ボンベの中に液化ブタンガスが残留していたこと
 廃棄する液化ブタンガスボンベは、中のブタンガスを放出させた後、ボンベ回収用のダンボール3個に投棄していたが、ボンベ内には僅かではあるが液化ブタンガスが残留していたため、ダンボール内で徐々に気化して、何らかの着火源があって引火、炎上に及んだものと推定される。
 なお、着火源は、喫煙、失火、電気機械器具等の事実が確認されないことから、合成繊維性防寒着に帯電していた静電気の放電あるいは回収用ダンボールに空ボンベを投棄したときの鉄製缶同士の衝撃による火花等が考えられる。
2 放出された可燃性ガスが滞留しやすい環境であったこと
 当初、液化ブタンガスボンベに穴を開ける作業は、ためしの作業も行った屋外の駐車場で行う予定であつたが、当日は作業者の防寒対策等を考慮して雨避けのためビニールシートの張られている通路面で行うことに変更した。
 このため、液化ブタンガスボンベから放出されたブタンガスが一定時間ビニールシート内に滞留する環境が形成されたものと推定される。
3 可燃性ガスの処理についての検討が行われていなかったこと
 液化ブタンガスボンベ等の廃棄処理の計画をした部門は、ボンベ内に残存する可燃性ガスの危険有害性の検討、安全な処理要領の検討等を行うことなく、安易に派遣の労働者に作業を行わせた。
4 安全管理を行っていなかったこと
 この会社では、事業の整理統合に伴う不用品の廃棄作業が広く行われていたが、その作業に伴う安全衛生上の問題点と対策について総合的に検討することなく、職制の責任者に作業期間の指示だけを行っていた。
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 安全な作業計画を作成すること
 不要物の廃棄処分等の作業を行う場合は、安全衛生担当部門の者を含めて、使用する機器材とその安全性、危険有害物の有無とその対策、配置する人員と必要な専門的知識の要否等について総合的に検討して計画を策定し、関係の作業責任者、関係労働者に周知する。
2 取扱い物質等に関する危険有害情報を収集すること
 携帯用のガスボンベの廃棄処理等については安易に行われることが少なくないが、ボンベに残存する液体・気体には爆発危険あるいは人体に有害な影響を与えるものが少なくないので、穴あけ作業等の前にそれらに関する情報を収集し、関係者に周知する。
(安衛法施行令別表第1の可燃性のガス関連)
3 労働者に対する安全衛生教育を実施すること
 危険有害な作業又は危険有害な物を取り扱う作業者に対しては、あらかじめその危険有害性に関する情報を与える教育等を実施した上で作業に従事させる。
 なお、派遣労働者である場合には、労働者を受け入れた派遣先が安全作業に必要な情報の提供等を行う。
4 作業責任者の指名等の安全衛生管理を行うこと
 危険物を製造し、又は取り扱う作業を行うときは、全体として安全衛生管理を行う体制を確立するとともに、作業場所に作業指揮者を配置し、その指揮者に取り扱う設備および設備の点検と異常時に必要な措置をとらせること、危険物の取扱い状況を点検させること、それらの記録を残させること等の職務を行わせる。(安衛則第257条関連)
 なお、非定常的な作業の責任者には、単に職制上の責任者によることなく、作業内容と一定の安全衛生に関する専門的な知識を有する者を指名するか、専門的知識を有する者を補助者として配置することが望ましい。
業種 軽電機製造業
事業場規模 16〜29人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 可燃性のガス
災害の種類(事故の型) 火災
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:3人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) その他保護具を指定していない
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行
NO.100832
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