アンケートにご協力お願いします。

硫酸を用いて中和を終えた中和槽内の結晶を洗い流す作業中、硫化水素中毒に罹る

  労働災害事例イラスト イラストをクリックすると拡大表示されます
発生状況  この災害は、農薬原料の製造工程で硫酸を用いて中和を終えた反応槽内の結晶を洗い流す作業中に発生したものである。
 農薬原料の製造工程は、原料の中間体にメタノール、二硫化炭素、苛性ソーダなどを加えて反応槽で攪拌して反応させるものであるが、反応により生じた副生成物としての硫化水素と残留したメタノールを除去するため加温し、ろ過槽を経て中和槽へ送給し、硫酸を加えて中和する。
 中和槽では、発熱反応が行われるので、一定の低温度に保持しながら硫酸が加えられる。そして、中和の際に生じる不純物を除去するために一定温度に加温した後、遠心分離機に落とし込み結晶を取り出して製品とする。
 災害が発生した日、被災者は、中和の終えた中和槽内の結晶を遠心分離機に落とし込んだ後、中和槽の内壁に付着した結晶を遠心分離機に落とし込むため、ホースを用いて中和槽の原材料の投入口を開けて放水していた。この時、原材料投入口をのぞき込むようにして放水していたが、急に意識を失い倒れ込んだので病院に収容し医師の診察を受けたところ、硫化水素中毒と診断された。
原因  この災害は、有機化合物の製造工程で硫酸を用いて中和を終えた反応槽内の結晶を洗い流す作業で発生したものであるが、その原因としては次のようなことが考えられる。
1  反応槽内で生成した硫化水素が原料として混合された過剰の苛性ソーダと反応して生成したNaHSが中和槽内に送給され、加温された中和槽内に加えられた硫酸と反応して硫化水素を生成し、中和槽内に滞留していたこと。
2  中和槽内で生成された硫化水素を、槽の蓋を開ける前にエアブローでパージするなどにより除去するための対策が講じられていなかったこと。
3  中和槽の投入口の蓋を開けて、硫化水素が滞留する槽内をのぞき込むような姿勢で作業を行っていたこと。
4  有害物が生成されている槽の蓋を開けて作業を行う際に、適切な呼吸用保護具を使用していなかったこと。
5  工程ごとに生成される有害物についての知識が十分でなかったため、危険・有害性に対して認識が希薄であったこと。
6  中和槽内壁に付着した結晶を洗い流す作業に関しての作業手順が作成されていなかったこと。
7  メタノール、二硫化炭素などの有害物質を取扱う作業に作業主任者を選任していなかったため、作業者の判断により作業が行われていたこと。
対策  この災害は、硫酸を用いて中和を終えた反応槽内の結晶を洗い流す作業で発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。
1  有害物が滞留することが想定される槽の蓋を開けるときは、事前にエアーなどにより槽内のパージを行い、有害物が槽内から除去されたことが確認されてから蓋が開けられるようなインターロック機構を検討すること。
2  工程ごとに生成する危険・有害物に対応した保護具の着用などを含めた作業方法および順序を定めた作業手順書を作成し、周知徹底すること。
3  作業主任者を選任し、その者に、作業手順書に基づいた作業方法および順序による作業の指揮、保護具の使用状況の監視および保護具の点検整備、異常時の対応などを的確に行わせること。
4  取扱う原材料および工程ごとに生成する中間体の危険・有害性およびその防護対策について教育を実施すること。
5  安全衛生推進者を選任し、その者に、安全装置、保護具などの点検および使用状況の確認、作業環境の点検および作業方法の点検、異常な事態における応急措置、安全衛生教育の実施に関することなどを管理させること。
業種 無機・有機化学工業製品製造業
事業場規模 5〜15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:1人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)
NO.100752
このページのトップへ戻ります
アンケートにご協力お願いします。