アスファルト合材のサイロ内で、固化したアスファルトを除去する作業中、熱中症となり死亡
業種 | 機械修理業 | |||||
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事業場規模 | 1〜4人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 炉、窯 | |||||
災害の種類(事故の型) | 高温・低温の物との接触 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100538
発生状況
この災害は、高温のアスファルト合材サイロ内において発生した熱中症である。この工場では、温度調節のできる合材サイロで道路工事の進捗に合わせて各種粒径のアスファルト合材を製造し供給している。災害が発生した日の前日、降雨で工事が中止になったため、夜間工事用に製造したサイロ内のアスファルト合材が劣化して使用できなくなった。
災害発生当日、建設会社の職員Bがサイロ下部のゲートを開放し、劣化したアスファルト合材を排出しようとしたが、合材が固まって排出できなかったので、専属のサイロメーカーに合材の除去作業を依頼したところ、作業者Aが派遣されてきた。
Aは、電動ピックで下部ゲートに付着した合材を除去して出口を大きくした後、電動ピックを持ってサイロ内に入り、内部に付着した合材の「はつり」を行った。
作業を開始して30分ほど経過した時に、建設会社の職員Bが冷たいお茶を差し入れたが、それから15分ほど経過した時に合材の塊がゲートから落下しなくなったので、Bがサイロの中に入って見ると、Aが合材の塊の上に横になった状態で倒れていた。
直ちに消防署に連絡して、レスキュー隊に救出され救急車で病院に移送し人工呼吸などを施したが、約30分後に死亡した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 高温環境下で作業を行ったこと 被災者を発見した約 2時間後のサイロ内下部に取り付けられている温度計では、73℃(保温中は160 ℃)であったので、被災者はかなりの高温環境下で作業を行ったため、極度の脱水症状となったものと考えられる。(死亡診断書では熱中症とされている) なお、ほぼ同時刻のサイロ内の酸素濃度は21%であった。(建設会社の職員が作業を行う前に、温度を下げるためサイロ上部を開放していた) |
2 | 作業手順書が不備であったこと サイロメーカーの標準作業手順書では、中に入って温度等の異常を感じたときは作業を中止するように記載されているが、作業開始前に温度、酸素濃度などを測定することが明示されておらず、作業者の判断に任されていた。 |
3 | 安全衛生教育が実施されていなかったこと 作業者に対して、高温環境下の作業に伴う有害性、酸素欠乏危険に対する特別教育などの安全衛生教育が実施されていなかった。 |
4 | 健康診断が実施されていなかったこと この会社では、最近 5年間定期健康診断が実施されていなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 | 作業手順書の見直し、整備を行うこと サイロの修理作業など、高温環境下における作業については、あらかじめ作業環境の温度および酸素濃度を測定する、一連続作業時間を定める、適当な間隔で水分を補給することなどについて具体的に定め、作業者に徹底する。 |
2 | 作業の監視体制を整備すること 危険有害な環境下で単独作業を行わせることは、異常事態発生時に迅速な対応ができないので、できれば作業指揮者、監視員などを配置することが望ましい。 なお、出張作業のような場合には、出張先(設備所有者)の協力を要請することも必要である。 |
3 | 十分な健康管理を行うこと 危険有害な環境下で作業を行う者に対しては、毎年の定期健康診断の実施はもちろんのこと、作業の種類によっては特殊健康診断を実施するとともに、その日の健康状態のチェックなどを必ず実施する。 また、熱中症のおそれのある場所での作業については、水分の補給、適当な間隔での休憩、休憩場所の確保などについて、あらかじめ労働衛生教育を実施する。 |