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労働災害事例

簡易リフトの搬器の中から身を乗り出し、搬器の手摺と1階の天井の間に挟まれる

簡易リフトの搬器の中から身を乗り出し、搬器の手摺と1階の天井の間に挟まれる
業種 その他
事業場規模 5〜15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) エレベータ、リフト
災害の種類(事故の型) はさまれ、巻き込まれ
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.100467

発生状況

 この災害は、簡易リフトの搬器に乗り、工場1階から2階へ上昇していく際、搬器から身を乗り出したため、搬器の手摺と1階の天井の間に挟まれ発生したものである。
 この事業場は、菓子、パン等を入れるビニール袋を製造しており、ロール状のビニールを裁断し袋状に熱圧着加工し、段ボール箱に詰めて出荷している。
 工場1階は加工場であり、袋作成用機械が設置されている。2階は、製品出荷のための段ボール箱等を一時的に保管するための倉庫として使用されている。また、これらの荷を上げ下げするために工場の片側に簡易リフトが設置されている。
 災害発生当日、作業者Aは、通常どおり簡易リフトの横の製袋機で加工した袋を出荷用段ボール箱に入れる作業を行っていた。
 配送係Bが、外部から持ち帰った品物を2階倉庫に揚げるため簡易リフトの搬器を1階に下ろし、品物を手押し車に載せて簡易リフトの所へ行こうとしたとき、簡易リフトの搬器が動いていたので「オイ」と声をかけて近づいた。簡易リフトに乗っていたAが1階の操作スイッチのある方向に身を乗り出し搬器を停止させようとしたが操作スイッチに手が届かず、1階天井と搬器とに挟まれた。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  簡易リフトの搬器に乗ったこと
 簡易リフトは、荷のみを運搬することを目的としたエレベーターである。この事業場では、通常の荷揚げおよび荷下ろし作業のときは、作業者は階段を利用して上がり下がりすることになっていた。
2  単独行動をとったこと
 通常、作業は2人共同で行っていたにもかかわらず、作業者Aは2階に上がることを共同作業者に告げず単独判断で簡易リフトに乗った。
3  搬器の外側に乗り出したこと
 作業者Aは配送係Bの呼びかけに応じ、搬器から乗り出し操作スイッチを押そうとした。
4  簡易リフトの搬器の昇降路に壁または囲いが設けられていなかったこと
5  安全管理体制が明確でなかったこと
 安全衛生推進者も選任されておらず、安全作業標準も定められていなかった。

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。
1  簡易リフトへの搭乗禁止を徹底すること
 簡易リフトへの搭乗禁止を明確に掲示し、関係者に周知徹底すること。
2  簡易リフトの搬器の昇降路に壁、囲い等を設けること
 この簡易リフトは、積載荷重が0.2トンであるため簡易リフト構造規格の適用はないが、これに準じた安全措置が必要である。
3  安全教育の徹底を図ること
 2階に上がり降りする場合は階段を利用すること等基本的な安全教育の徹底が必要である。
4  安全管理体制を確立すること
 この事業場では、少なくとも安全衛生推進者を選任して、安全衛生業務を担当させる必要がある。
なお、この災害とは直接関係しなかったが、簡易リフトの搬器が1階へ下がっているときは、2階の昇降路部は完全な開口状態であり、墜落防止措置が必要である。