道路舗装現場において、警備員がローラーに激突される
業種 | 警備業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 建設機械等 | |||||
災害の種類(事故の型) | 激突され | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 交通の危険 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 危険場所に近づく |
No.100465
発生状況
この災害は、道路舗装工事現場において、車両等の誘導中に発生したものである。
この工事は、県道の簡易水道埋設により掘削した部分の両側の舗装をはぎとり、アスファルト舗装を約300m行うものであった。
災害発生当日午前8時頃作業を開始し、警備の班長Aは、工事区間の全体を見通す中央部に位置して両端の警備員に指示を行うとともに、アスファルトのはぎ取り作業を行うドラグショベル、ダンプカー等工事車両と作業者、通行車両、通行人等の誘導を行った。
午後3時40分頃、当日の舗装はぎ取り作業が完了し、ドラグショベルが片付けられた。
その頃、作業者Bはローラーを運転しアスファルト合材の締め固め作業を行っていたが、この作業はセイフティコーン等で区画した場所内でローラーの前進後進を繰り返すもので監視人はいなかった。
しばらくして、Bがローラーを前進させたとき、運転席の左側の道路中央線付近にAがいるのをみたが、続いてBが運転席から上体を乗り出し右後方を目視しながらルートから外れないように直進後退させていると、何かに当たったショックを感じたので、ローラーを前進させ停止して左後方をみると、ローラーに激突されたAが這い出て路上に倒れた。Aは病院に搬送されたが肺出血で死亡した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 被災者がローラーの後方に入ったこと ローラーの前後方の危険範囲への立入禁止措置が不十分で、ローラーが展圧のために往復する範囲は一見して区別できるが、展圧する方向に表示等がなく被災者は既に展圧が終了してもうローラーが通らないと誤認し、ローラーで単独作業している区域にローラーの運転者に合図、連絡することなくローラーの移動範囲に立ち入った。 また、ローラーは後退する際には警報音が鳴るが、被災者は聴覚も正常であたのにローラーに接触したのは、自分の位置までローラーが来ないと誤認していたものと思われる。 |
2 | ローラーの運転者が被災者の存在に気づかないまま後退させたこと 運転者は立入禁止区域であるため、ローラーの後方に人が入ることは考えていなかったので、ルートから外れないように右後方を見ていたが、左後方は確認せず死角になっていた。 |
3 | 誘導員の誘導時の位置取り、誘導方法等について十分に安全教育していなかったこと |
4 | 作業開始前の関係作業者との打ち合わせおよび誘導員の作業状況について監視等の安全作業管理が十分でなかったこと 単独作業である「ローラーによる展圧作業」について、運転者以外の者が立ち入らないように指示していなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。1 | ローラーの後方およびドラグショベルの旋回範囲等には立ち入らないようにすること ローラーによる展圧作業等の単独で行う作業について「作業区間」および「立入禁止区域」の表示をし、作業者とローラー等との接触による危害防止措置を講ずるとともに、接触による危険がある場所に不用意に立ち入らないように作業責任者および関係作業者に安全教育する必要がある。 |
2 | 誘導者については、雇い入れ時に工事計画について説明し、工事の進行に応じた車両等の誘導業務や警備業務についての指示および指導を実施するとともに、誘導時の位置取り、誘導方法にともなう誘導者自身の安全についても十分に教育を行うこと |
3 | 安全管理体制を整備して、工事現場の安全管理を徹底すること 元請事業者は下請事業場を含む安全管理体制を確立し、安全管理担当者を現場に派遣して指導を行うとともに、現場の作業指揮者は、作業開始前に関係作業者との打ち合わせおよび作業状況の監視等を十分実施する必要がある。 特に、単独作業の作業範囲への作業者の立ち入り禁止については、作業開始前のミーティングなどにおいて周知徹底することが大切である。 |