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固化したアクリル酸モノマーが入ったドラム缶を加熱融解中、モノマーが重合し、ドラム缶が破裂

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発生状況  この災害は、印刷用インクなどの樹脂製品製造工場において、原料のアクリル酸モノマーの入ったドラム缶を加温中、ドラム缶が破裂し、噴出したアクリル酸モノマーなどにより薬傷したものである。
 アクリル酸モノマーは直径58cm、高さ91cmのステンレス製ドラム缶に封入して保存されているが、冬季には固化するので使用するときは温蔵庫で加温して融解している。
 災害発生当日、同モノマーの入った3本のドラム缶を融解させるべく、午後4時30分頃から温蔵庫に入れ、120℃の水蒸気が通っている蒸気管(側面および床面に設置)のバルブを開いて加熱を開始した。午後9時頃、モノマーの融解が不十分であったので、165℃の水蒸気が通っている蒸気管(床面に設置)のバルブも開放し、加熱を行った。その後約1時間30分経った午後10時30分頃、モノマーの融解が終了したので、ドラム缶を取り出そうと温蔵庫に入ったとき、1本のドラム缶から白煙が出ているのを発見した。2名の作業員が急いで温蔵庫内に散水しているとき、突然1本のドラム缶が破裂したため、噴出したアクリル酸モノマーなどにより薬傷や炎症を負った。
原因  この災害は、固化したアクリル酸モノマーを温蔵庫で加温中、同モノマーがドラム缶内で重合を起こしドラム缶が破裂したため、同モノマーなどの有害ガスが放出され、温蔵庫内への散水作業をしていた作業員が炎症や薬傷を負ったものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。
1 アクリル酸モノマーを加温する温蔵庫において165℃の高温の水蒸気を蒸気管に通したこと。
 ドラム缶表面の温度が上昇して部分的にモノマーの重合が開始し、次第にドラム缶内部の方向に重合が進んだため、重合熱により缶内の圧力が上昇し、ついにはドラム缶が破裂して有害物が放出したこと。
2 温蔵庫の温度調節が蒸気バルブを手動で開閉して行われるなど、温度管理の方法が不適切であったこと。
3 ドラム缶入りのアクリル酸モノマーの加温に関する作業標準が作成されていなかったこと。
4 化学安全、特にモノマーの重合危険性および化学物質の有害性に関する教育・訓練が不十分であったこと。
対策  この災害は、固化したアクリル酸モノマーを温蔵庫で加温中、同モノマーがドラム缶内で重合を起こしドラム缶が破裂したため、同モノマーなどの有害ガスが放出され、温蔵庫内へ散水作業をしていた作業員が薬傷や炎症を負ったものである。アクリル酸やスチレンのようなモノマーを加温中における重合による破裂や爆発を防止するためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 モノマーを安全に加温できる温度を、容器の大きさと関連づけて定めておくこと。
 また、比較的高温で加温する場合には、加熱時間を実験結果などから事前に定めておく必要がある。
2 温蔵庫などの温度管理を徹底して行い、部分的に高温部ができないよう、均一に加温できる方法を採用すること。
3 モノマーの加温温度、加温時間、使用する容器、加温方法などについて、作業標準書を作成しておくこと。
4 モノマーの重合危険性について、作業員に周知徹底させておくこと。
5 モノマーの重合、漏えいなどによる緊急な事態の発生を想定し、保護具の使用や避難方法について訓練しておこと。
業種 無機・有機化学工業製品製造業
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 化学設備
災害の種類(事故の型) 破裂
被害者数
死亡者数:− 休業者数:3人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物) その他保護具を指定していない
発生要因(人) コミュニケーションなど
発生要因(管理) その他
NO.100388
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