産業廃棄物をドラグ・ショベルでダンプトラックに積み込む作業中、ドラグ・ショベルが転落
業種 | 産業廃棄物処理業 | |||||
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事業場規模 | 5〜15人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 掘削用機械 | |||||
災害の種類(事故の型) | 転倒 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 機械、装置、用具、什器の配置の欠陥 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100253
発生状況
この災害は、産業廃棄物処理施設内に野積み(幅約17m、長さ約15m、高さ約2.3m)された建築廃材(柱、ベニヤ板、わら、ビニールなどが混在)をドラグ・ショベルでトラックに積込み作業中、野積みの上からドラグ・ショベルが転落したものである。災害発生当日、この現場では、建築廃材の野積みの上でドラグ・ショベルにより、2tトラックおよび4tトラックへ交互に建築廃材を積込む作業を行っていた。
午後4時20分頃、被災者は、土場に敷いてあった鉄板をドラグ・ショベルの道板に利用しようとして、野積みの上からこの土場に敷かれていた鉄板の端にバケットのツメを掛け、手前に引こうとしていたところ、突然ドラグ・ショベルが建築廃材の野積みの上で運転席側に傾き、左側面を下にして野積みの上から地面へ転落した。
ドラグ・ショベルが野積みの上から転落するとき、運転していた被災者は運転席から素早く飛び降りたが、飛び降りたところで転倒し、着用していたヘルメットが外れ、被災者の頭部へのしかかるようにドラグ・ショベルが転落してきて、脳挫傷により死亡した。
原因
この災害の原因としては次のようなことが考えられる。1 | 作業指揮が的確でなかったこと。 | |
2 | 作業指揮者が、代理人等を選任せずに現場を離れたこと。 | |
3 | ドラグ・ショベルを用いて建築廃材の積込み作業を行うにあたり、 | |
(1) | ドラグ・ショベルの作業位置が、足場としては不安定な位置であったこと。 | |
(2) | 誘導者を配置していなかったこと。 | |
4 | 作業計画が定められていなかったこと。 | |
5 | ドラグ・ショベルが転倒したとき、ドラグ・ショベルの転倒方向に飛び出したこと。 | |
6 | 着用していた保護具(安全帽)が外れたこと。 | |
7 | キャブ(運転席)がROPS(横転時オペレーター保護構造)になっていなかったこと。 |
対策
この災害は、産業廃棄物処理場内に野積みされた建築廃材の上で、ドラグ・ショベルにより建築廃材をダンプトラックに積込み作業中、ドラグ・ショベルが転落したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 作業指揮者は、直接作業を指揮し、作業手順、作業方法等について具体的に的確な指示をすること。
2 作業指揮者が現場を離れるときは、代理人等を選任し、その者に作業を直接指揮させること。
3 作業場所の沈下、傾斜などについての安全を確認すること。
4 車両系建設機械の転落などの危険が生ずるおそれのあるときは、誘導者を配置ること。
5 作業計画を定め、その作業計画により作業を行いうこと。なお、予定外の作業が生じたときは、その都度作業の安全を検討すること。
6 作業の性質上やむを得ないとき又は安全な作業の遂行上必要な場合に用途外使用するときには、アーム、バケットなどの強度、作業場所等の安全を十分検討すること。
7 作業計画の作成、作業手順の遵守等についての安全教育を実施すること。
8 作業計画の作成、安全教育の実施等が確実に行われるように安全管理全般の見直しを行うこと。