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弗(フッ)化水素吸着装置の吸着材を交換する作業中、弗(フッ)化水素を吸引

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発生状況  この災害は、弗(フッ)化水素吸着装置の吸着材の交換作業中に、吸着剤から脱離した弗(フッ)化水素を吸引して発生したものである。
 災害は、研究所内に設けられた弗(フッ)化炭素製造の研究を行うための実験工場で発生した。この実験工場には、弗化炭素を生成する設備として、炭素、フッ素などの原材料の供給装置、吸着装置、反応装置、分離装置、精製装置、洗浄装置、廃水処理装置などを設置していた。
 災害が発生した日、この研究を担当する研究室の室長と研究員の二人で、防毒マスク、保護眼鏡、ゴム手袋を着用して、吸着装置の吸着材の交換作業を始めた。吸着材の交換作業は、No.1からNo.6までの吸着材が収められている円筒状の容器のフランジを取り外し、No.1からNo.3までの吸着材を取り出し、ビニール袋へ入れ、No.4からNo.6までの吸着材をNo.1からNo.3に入れ替え、No.4からNo.6に新しい吸着材を補給する方法で繰り返し行われていた。この手順に従って、No.1からNo.3までの吸着材が収められている容器のフランジを開け、室長がフランジの開いたNo.1から吸着材を取り出し、ビニール袋に入れていたところ、吸着材から脱離した弗(フッ)化水素を吸入して気分が悪くなった
原因  この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 災害発生時に取り出した吸着剤は、通常より3倍程度の弗(フッ)化水素が吸着されていたことから、窒素ガスによる弗(フッ)化水素の除去が不十分であったことが考えられ、吸着エネルギーの小さい弗(フッ)化水素が気体で脱離していたものと推定される。
2 吸収剤の交換を、吸収剤を通過した弗(フッ)素ガスの流量ではなく、月2回という時間で判断していたことから、通常の量を大幅に上回るガスが通過していたことが見過ごされ、窒素ガスによるプレパージ時間を通常どおりとしたため、吸着エネルギーの小さい弗(フッ)化水素が相当量残存していたものと推定される。
3 吸収装置から吸収剤を取り出し、廃棄用のビニール袋へ廃棄する際に、吸収剤が露出した状態のままハンドリングする方法で作業していたため、ばく露されやすい状況であった。
4 着用していた防毒マスクに取り付けられていた吸収缶の破過時間は、4時間のものであったが、災害の発生時には既に4時間を超えて使用していたものであった。
対策  この災害は、弗(フッ)化水素吸着装置の吸着材の交換作業中に、弗(フッ)化水素を吸引して発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要と考えられる。
1 吸収剤の交換時期は、弗(フッ)素が吸収剤を通過した流量に応じて行うこととし、窒素のプレパージ量はその弗(フッ)素の通過量に応じて行うこと。
2 吸収装置への吸収材の装填方法は、交換作業時に吸収材が露出した状態で取り扱う必要のない方式に改善することが望ましい。
3 適切な保護具の使用を徹底すること。
4 特定化学物質等作業主任者技能講習修了者のうちから、作業主任者を選任し、その者に作業を直接指揮させること。
5 作業手順、保護具の選択などを含めた作業マニュアルを作成すること。
6 原材料の有害性のチェックおよび把握結果に基づく原材料の管理のためのシステムを整備すること。
7 保護具の選択の必要性、局所排気装置など有害物質の拡散防止のために必要な対策などについて労働衛生教育を実施すること。
業種 無機・有機化学工業製品製造業
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:− 休業者数:1人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物) 防護・安全装置が不完全
発生要因(人) 無意識行動
発生要因(管理) その他
NO.100189
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