ホイスト式昇降機の点検中、ワイヤロープが切断し搬器とともに落下
業種 | その他の食料品製造業 | |||||
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事業場規模 | 30〜99人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | エレベータ、リフト | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | 設計不良 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 不意の危険に対する措置の不履行 |
No.100103
発生状況
この災害は、食品工場に設置してあるホイスト式昇降機の点検中に搬器とともに落下したものである。災害発生当日、朝から通常の作業が進められていたが、午前9時10分頃、パートタイマーの作業員が、3階に停止していた昇降機を1階に降ろすため1階の操作盤のボタンを押したが昇降機は動かなかった。
その連絡を受けた被災者は、工場長に報告し、工場長の指示で昇降機のメーカーへ電話をしたが応答がなかった。
約1時間後に再度電話をしたところ、「夕方でないと行けない。」との返事であった。しかし、3階の作業場で包装まで済んだ製品が溜まってしまっているのを見かねた被災者は、昇降機を点検しようと3階の床上約2mの高さにある点検孔から昇降機のシャフトに入り、搬器上に乗り点検していたところ、ワイヤロープが切断して搬器ごと地上まで約8m落下した。
被災者は、直ちに救急車で病院に運ばれたが、一週間後に死亡した。
原因
この災害の原因としては次のことが考えられる。1 搬器が途中で止まったにもかかわらず、ワイヤロープが解放され続け、その後、逆に巻き上げられて巻き切ったこと
2 昇降機に関する知識経験のない者が点検を実施したこと
3 定期的な点検整備が行われていなかったこと
4 故障時の作業方法についてあらかじめ定められていなかったこと
対策
この災害は、食品工場に設置してあるホイスト式昇降機の点検中に搬器とともに落下したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。1 安全衛生管理体制を整備すること
2 設計段階で昇降機の安全性を確保すること
3 立入禁止措置を講じること
4 定期的な点検整備を実施すること
5 安全衛生教育を実施すること