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研究業務中に発生したシアン化水素中毒

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発生状況 災害発生当日、被災者は午前10時ころから、研究室の直ぐ外側の構内路上に必要な機器を持ち出して、吸着体の製作を開始した。
 最初に、1lの寒天に1.5lの水を加え、10Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下しつつかくはんした。
 研究室に戻り、シアン化臭素300gを量り採った後、再び屋外にて、シアン化臭素に水1lを加えて、かき混ぜ、溶解した。その際、pHが低下するとシアン化水素ガスが発生するので、10Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して、pHを11から12に維持した。
 製作したシアン化水素水溶液を、最初に作成しておいた寒天水溶液に徐々に添加した。この際にもpHを11から12の範囲に保つために水酸化ナトリウム水溶液を滴下した。
 20分後、pHが安定したところで反応が終了したものと判断されたので、寒天を水で洗浄して未反応のまま残っているシアン化臭素を除去した。その水は、次亜塩素酸ナトリウムで処理した。
 こうして12時頃には作業を終了して、昼食を取った。
 昼食後の12時30分頃、にわかに気分が悪くなり、吐き気を感じたので、近くの病院に行ったところ、シアン中毒との診断を受け入院した。
原因 シアン中毒を引き起こした原因物質としては、反応に使用したシアン化臭素のほか、作業中発生したシアン化ナトリウム、シアン化水素が考えられる。
 ばく露の経路としては、シアン化臭素、シアン化ナトリウムでは経口的なばく露が、シアン化水素では経気道的なばく露が考えられるが、被災者は昼食の前に十分に手を洗っていることから、経口的なばく露は考えにくく、反応に使用したシアン化臭素や作業中発生したシアン化ナトリウムによる中毒の可能性は低い。
 次に、作業中発生したシアン化水素については、
(イ) 発生を抑制するためにpH11から12という強アルカリ性の条件下で作業を進めたものの、その発生を完全に止めることは困難であること
(ロ) 研究で使用される活性化寒天の量が増大したため、シアン化臭素の使用量が、従前の作業における使用量の約10倍に及び、シアン化水素の発生量が増加した
 と考えられることなどから、本災害は反応の進行に伴って発生したシアン化水素による中毒と判断される。
 このようなことから、本事例における発生原因は、次のように考えられる。
(1) 作業方法の変更のためシアン化水素発生の可能性があるにもかかわらず、局所排気装置等の設置、呼吸用保護具の使用等のばく露防止のための措置をとらなかったこと。
(2) 通常よりも多量の化学物質を取り扱わせたこと。
(3) 事業者、被災者ともに本作業の危険性に対する認識が不十分であったこと。
対策 (1) シアン化水素発生の可能性がある作業を他の工程に変換すること。本事例においてはあらかじめ、活性化された寒天が市販されているのでこれを購入、使用することが考えられる。
(2) やむを得ず、本作業を継続する場合には、局所排気装置等の設置、呼吸用保護具の使用等のばく露防止のための措置を講ずること。
(3) 通常と異なる作業を実施させる場合には、指示を出す側と実際に作業を行う側との間で、今一度その作業について安全衛生面からの検討を行うこと。
(4) 事業者は研究所内の全ての作業について、安全衛生面から検討を行うと共に、その結果を踏まえて、研究員に対して、安全衛生教育を実施すること。
業種 その他の教育研究業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:− 休業者数:1人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)
NO.824
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