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労働災害事例

トリレンジイソシアネートによる中毒

トリレンジイソシアネートによる中毒
業種 プラスチック製品製造業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:− 休業者数:1人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.799

発生状況

災害が発生したのは、自動車用座席等のクッション材である軟質ウレタン樹脂の成型品を製造する工場である。
 この工場では、軟質ウレタン樹脂の原料であるトリレンジイソシアネート(特定化学物質(特定第二類物質)、以下TDIという)および他の薬品等の液体をそれぞれタンクに貯めておき、それぞれを配管で注入機に送り、注入機で原料液を混合した後、型に流し込んで加熱成型している。
 原料液の種類や混合割合は製造する製品の硬さや難燃性の度合いにより何種類もあり、製品に応じて原料タンクの担当者が原料液の入れ替えを行っている。
 被災者は、TDIの原料タンクを担当する作業者であった。
 災害発生当日、被災者は、製造する製品の変更に伴い、原料タンク内のTDI液を濃度80%のものから濃度50%のものに交換するため、まず、原料タンクから濃度80%のTDI液を抜き取る作業に午前9時ごろより取りかかった。
 被災者は、原料タンクのバルブに内径32mmのホースをつなぎ、そのホースを通じて空の一斗缶(18l缶)に濃度80%のTDI液を移すこととした。その際、ホース外径と一斗缶の口の直径がほぼ同じであったためにホースが一斗缶の中に入らず、一斗缶の口にホースの先をあてがった状態で原料タンク内にコンプレッサーで圧力をかけてTDI液を一斗缶に移した。
 次に、配管内に残っている濃度80%のTDI液を除くため、原料タンクに濃度50%のTDI液約40lを入れ、ポンプを作動させて配管内を循環させた後、先ほど濃度80%のTDI液を抜き取った作業と同様に、空の一斗缶の口にホースの先をあてがい、原料タンク内にコンプレッサーで圧力をかけてTDI液を一斗缶2缶に移した。
 2缶目に移し終わる際、原料タンク内で泡状になっていたTDI液が一斗缶の口とホースの先との隙間から噴き出て、被災者の首から腰のあたりに付着し、被災者の作業服を濡らした。
 被災者は、特定化学物質等取扱作業主任者である上司から保護具の着用を指示されていたため、保護眼鏡と活性炭シート入りのマスク(労働安全衛生法上の防毒マスク、防じんマスクに該当しないもの)を着用して作業を行っており、目やのどに直接TDI液が侵入することはなく、特に異常を感じなかったために、濡れた作業服のままで正午まで作業を続けた。
 被災者は正午に休憩を取ったが、食事の後でタバコを吸ったところ、呼吸しづらく感じ、その状態が午後の作業開始時間になっても改善しないため、病院に行き診察を受けたところ、TDIによる中毒と診断されて入院することとなった。

原因

1 ホースの外径と一斗缶の口の直径が同じであったため、ホースが一斗缶に入らなかったこと。そのため、圧力をかけられた原料タンクからTDI液がホースの先と一斗缶の口の隙間から噴き出たこと。
2 TDI液で濡れた作業服のまま作業を続けたこと。
3 使用していたマスクが検定合格品の防毒マスクではなかったこと。

対策

1 圧力をかけずに液を移すことができ、かつホースが一斗缶の口に入るよう設備を改善すること。
2 TDI液を取り扱う作業においては、労働衛生保護服(化学防護服)を着用し、TDI液で濡れた場合には速やかに洗浄等すること。
3 呼吸用保護具として検定合格品の有機ガス用防毒マスクを着用すること。また、作業主任者は保護具の使用状況等を確認すること。