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労働災害事例

医薬品中間体製造工程で火災

医薬品中間体製造工程で火災
業種 その他の化学工業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 引火性の物
災害の種類(事故の型) 火災
被害者数
死亡者数:− 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.631

発生状況

本災害は、医薬品中間体の製造工程で発生した。製造工程の概略は下図のとおりである。
 当日の作業は、反応工程から予備乾燥まで通常どおり順調に終え、医薬品中間体(以下製品という)の乾燥機への移し替え作業にとりかかった。移し替え作業は、濾過器と乾燥機の間にシューター(ポリプロピレン製)を取り付け、作業者2名で濾過器内から製品をかき出しシューターを通して乾燥機に移し替えるもので、他の1名の作業者はシューターに製品が詰まるのを防止するためシューターを手で叩く作業を行っていた。移し替え作業が終わり、濾過器から製品をかき出していた作業者2人が、濾過器内で濾過に用いていた濾布(ポリエチレン製)と濾布の押えリング(ポリエチレン製)を濾過器から引き出した時に、突然シューター内で火災が発生したものである。作業者は近くにいた同僚の声で退避し、また、消火が早かったため、被災をまぬがれた。

原因

[1] 移し替え作業時の製品には、n−ヘキサンが20wt%含まれており、シューター付近では当然蒸気の濃度が爆発範囲内にあったと考えられること。
 なお、n−ヘキサンは引火点マイナス21.7℃、爆発範囲1.2〜7.5Vol%、最小着火エネルギー0.24mjの危険物である。
[2] 着火源としては、静電気の可能性が高いこと。ポリエチレン製であるシューター、濾布、押えリングは静電気が帯電しやすく、事故後の測定では、これらに関連した作業でn−ヘキサンの最小着火エネルギー0.24mjを超える静電気が検出された。
[3] 当該事業場では、本作業の危険性についての認識がなかったこと。

対策

[1] 移し替え作業時までに製品中に含まれるn−ヘキサンの含有率を可能な限り少なくすること。また、濾過器回りの局所排気装置の能力の改善を図ること(事故時には局所排気装置は設置されていたが)
[2] 移し替え作業時には、濾布、シューター等を導電性の材質のものに替える等の帯電防止を図ること
[3] 作業者に対し、取扱物質の危険性、それによる災害防止対策等について安全衛生教育を十分に行うこと。