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アーク溶接の火花が燃料油に引火し火傷

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発生状況 アーク溶接を行っていた時、燃料油入りポリタンクに溶接用コードが引っかかってポリタンクを倒し、燃料と潤滑油の混合油が流れ出したところにアーク溶接の火花が引火して火傷を負ったものである。
 A土木は、土木工事を専門としており、今回は、B砕石から砕石場付属の排水路の改修工事を請け負っていた。この排水路はコンクリート製(幅3.6m、深さ1.2m、傾斜37度)で、砕石場から流れ出る排水を河川に導くものであるが、排水は砕石場を出た後、道路の下を通っているヒューム管(直径約90cm)を経由して排水路に流れ込んでおり、流れ込む部分に約50cmの段差があるため流れ落ちる排水によって排水路の底が削り取られていく状態にあった。そこでB砕石では、段差の下流側の底を鉄筋コンクリートにより補強することとし、A土木に工事を発注したのである。
 災害発生当日、A土木の現場責任者Mと作業者N、Oは、コンクリート打設に先がけ、まず、あらかじめ用意しておいた升目状に組んだ鉄筋(5.0m×3.6m)を排水路の底に置き、コンクリート打設用木製パネル(長さ3.6m、幅30cm)をこの升目状鉄筋に溶接する作業に取りかかった。このコンクリート打設用木製パネルには鉄筋(50cm)6本が鉛直に取り付けてあり、升目状鉄筋の端と溶接することにより、コンクリート打設用型わくとして機能するものである。
 まず、Mは事前に用意してあった混合油(18lポリ容器入り)をアーク溶接機の発電機に約5l給油した。ポリ容器の混合油は約10l程度残っていたので、発電機を積んでいる軽貨物自動車の後方の路上に置いておいた。この軽貨物自動車はMらが乗ってきたもので、道路の脇に止めてあった。
 次に、Mはアーク溶接用のコードを発電機に接続し、NとOを補助として、溶接作業を開始した。
 しかし、4本目の鉄筋の溶接を行っていた時、溶接用のコードが道路上のポリタンクに引っかかってしまい、ポリタンクが転倒、容器内の混合油が道路側溝を伝って排水路に流れ込み、アーク溶接の火花に引火して燃え上がった。そのため、Mら3名が火傷を負ったのである(図)。
原因 [1] ポリタンクの置き場所が、不適切であったため、コードに引っかかって倒れたこと。
[2] ポリタンクのふたが閉めてなかったこと。
[3] Mら3人ともアーク溶接に関する特別教育を受けておらず、災害防止に関する知識が十分でなかったこと。
対策 アーク溶接を行う際は、燃料、混合油等の引火性の液体が入った容器を近くに置かないこと、また、その容器のふたはきちんと閉めておくことである。これらは災害防止対策としては、非常に基本的な事項であるが、製造業などにおいても似たような事例が少なくないので、溶接・溶断作業のある事業場においては同様の注意が必要である。
 ところで、溶接作業中の災害で、重篤なものを分類すると大きく3つに分かれる。
[1] 感電
[2] 溶接対象物の倒壊等
[3] 爆発・火災である。
 感電災害はアーク溶接の際に溶接棒に触れるなどにより発生することが多く、死に至る場合も多いので作業標準、手順を守って作業することが重要である。
 溶接対象物の倒壊については、特に溶接しようとするものが大きい場合に、吊り上げていたものが落ちるまたは立てていたものが倒れてきて作業員がその下敷きになる場合がある。これらについては、吊り具の選択、溶接対象物の置き方等を含め作業方法についてあらかじめよく検討しておくことが必要である。
 最後に爆発・火災であるが、引火性の液体などが入ったままのタンクなどの溶接や溶断を行っていて爆発事故になる場合と、近くに塗料の溶剤や燃料油の容器があって引火する場合が多い。後者が本災害事例に該当するが、いずれの場合も、溶接作業に入る前に周囲の状況をよく確認し、引火の可能性のあるものを除去するとともに、容器に入っているものについてはきちんとふたを閉め、引火の可能性がない場所まで離すなどの対策が必要である。また、他の作業者との連絡が不十分で、溶接作業の近くで塗装作業を行っていたため引火したなどの事例もあるので、作業間の連係についても十分配慮する必要がある。
業種 その他の土木工事業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) アーク溶接装置
災害の種類(事故の型) 高温・低温の物との接触
建設業のみ 工事の種類 その他の土木工事
災害の種類 その他の爆発・火災等
被害者数
死亡者数:− 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)
NO.501
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