フォークリフトの荷が崩壊し、下敷きとなり死亡
業種 | セメント・同製品製造業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | フォークリフト | |||||
災害の種類(事故の型) | 崩壊、倒壊 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.564
発生状況
本災害は、フォークリフトの前に飛び出した被災者を見て、フォークリフト運転者が急ブレーキをかけたところ、運搬していた建材ボードがフォーク前方に崩壊し、被災者が下敷きとなったものである。災害が発生した事業場は、建材ボードを製造しており、被災者は、仕上げ加工係に属し、検査を担当していたが、入社8日目で、同係に配属されたのは、2日前であった。
災害発生当日、被災者は、他の検査担当Aの指導を受け、製品の選別についてOJTを受けていたが、指示により終業の1時間前から清掃を開始した。Aは、ラインから出てきた当日最後の製品に伝票を貼るため、別の場所に移動した。
被災者は、その間、ゴミ箱を持ち、通路白線内をゴミ捨て場へ向かって歩いていた。同時期、フォークリフト運転担当Bは、原板(縦90cm、横320cm、重量45kg)75枚(パレットを含め高さ1.5m)をフォークリフトに積み、通路を通って運んでいた。Bは、被災者を後方から確認したので、徐行していたところ、白線内に柱がある部分で、被災者が不意に通路側に出てきたため、急ブレーキを踏んだところ、原板が崩壊し、被災者が下敷きとなったものである。
通路には白線を引き、フォークリフトの走行に対する安全通路を確保していた。白線とラインの機械等の間隔はおおむね60cmであったが、柱のある部分は、28cmしかなかった(図1)。
作業者は、通路を横断する場合には、指差し呼称、左右確認を行い、フォークリフトを確認した場合、待機または退避し、フォークリフトを優先させるよう指示されていた。被災者も、雇入れ時教育においてその指示を受けていたが、入社間もないため、徹底されていない面があった。また、被災者は耳栓をしていたため、フォークリフトの接近に気がつかなかった可能性がある。
さらに、フォークリフトに製品を積むときにマストを後傾させると、バックレストと製品が接触しキズが付くため、マストを後傾させていないが、本事例の場合も、マストを後傾させていなかった。
原因
[1] 柱のある部分の安全通路が十分に確保されていなかったこと。[2] フォークリフトに原板を積載、運搬する場合に、マストを後傾させていなかったこと。
[3] 被災者に対して、通路を横断する場合等に取るべき指差し呼称、左右確認、フォークリフトを認めた場合の待機等の安全確保措置が徹底されていなかったこと。
対策
[1] 安全通路については、柱、ラインの突出場所等においても、作業者が安全に通行できるよう、必要な幅を確保すること。[2] フォークリフトに荷を積載する場合には、マストを十分に後傾させること。
[3] 作業者に対して、通路を横断する場合等に取るべき指差し呼称、左右確認、フォークリフトを認めた場合の待機等の安全確保措置を徹底すること。