天井クレーンにひかれ死亡
業種 | 製鉄・製鋼・圧延業 | |||||
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事業場規模 | − | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | はさまれ、巻き込まれ | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.505
発生状況
本事故は、天井クレーンのランウェイおよびその周辺を清掃する作業において、掃除用の吸引ホースを持って、ランウェイ上に入ったところ、走行してきた天井クレーンにひかれ、即死したものである。事故の発生した事業場は、鋼板の製鉄工場で、石灰が、コンベヤーからホッパーに落下する際、石灰の粉じんが舞い上がり、コンベヤー周辺に堆積するため、年に6回定期的に清掃作業を行うことになっているもので、当日は、この清掃作業を行うことになっていた。
災害発生当日、入社6カ月目の製鉄工場の作業者Aは、作業長から、急きょ、堆積した粉じんを、ランウェイ、コンベヤーの順に、掃除用の吸引ホースで清掃していくよう指示された。
なお、Aは、入社してから安全衛生教育は何も受けておらず、また作業長からは、歩行経路、安全上の留意すべきこと等も、指示されていなかった。
さらに、作業長は、天井クレーンのランウェイおよびその周辺の清掃作業を行うが、すぐ終了するので、支障はないと考え、天井クレーンの運転手には、清掃作業を行うことは、何も知らせてはいなかった。
Aは、ホースをコンベヤーの点検台の北側にあるホースの接続口につなぎ、清掃作業を開始するため、コンベヤーの出口付近から、ホースを持って、階段を登り、ランウェイ上を歩き、点検台の接続口に行こうとした。
天井クレーンの運転手は、溶鋼の入った280トンのなべを天井クレーンにて運搬する作業を行っているところであり、天井クレーンの運転手は、つり具を注視して、天井クレーンをAの方向に走行させていた。
この時、Aは、飛び出すような形で、ランウェイ上に入り、背後から走行してきた天井クレーンに接触し、天井クレーンの車輪にひかれ、即死した。
なお、階段を上り、ランウェイの下の通路を通ることにより、ランウェイ上を通らずに、コンベヤーの出口付近から、点検台に行くことが可能であった。
また、ランウェイおよびその周辺の定期清掃作業の際の清掃作業者の歩行通路等の作業方法および走行クレーンとの接触防止方法は、定められていなかった。
原因
(1) ランウェイ上を通らなくても、点検台に到達できるにもかかわらず、ランウェイ上に入ったこと。(2) ランウェイ上の清掃作業等、走行クレーンが作業者に接触する恐れがある箇所において作業を行うにもかかわらず、これを防止する対策を講じていなかったこと。
(3) 雇入れ時の安全衛生教育等が実施されていなかったこと。
対策
(1) 走行クレーンが作業者に接触する恐れがある箇所において作業を行う際には、監視人を置く、ランウェイ上にストッパーを置く等の対策を講じること。(2) ランウェイ上の作業等の危険を伴う作業を行う場合には、走行クレーンとの接触防止方法、作業者の歩行通路等の安全な作業方法を定め、これを関係者に指示、徹底すること。
(3) 雇入れ時の安全衛生教育(等の安全衛生教育)の実施を徹底すること。