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労働災害事例

立てかけてあった木材が倒壊し、その下敷きになり死亡する

立てかけてあった木材が倒壊し、その下敷きになり死亡する
業種 その他の木材・木製品製造業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 木材、竹材
災害の種類(事故の型) 崩壊、倒壊
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.204

発生状況

災害が発生した事業場は、床柱・玄関ポーチ等の磨丸太銘木を製造している。
 災害は、立てかけてあった磨丸太を移動しようとした被災者に磨丸太が六〜七本倒れ、これが被災者を直撃し、死亡したものである。
 災害は、磨丸太を乾燥させるため、乾燥機に搬入する作業で発生した。
 作業は四人で行われ、三人は乾燥機前から内部に搬入する作業、被災者は、乾燥機から約10メートル離れた貯木場に立てかけてある磨丸太を乾燥機前の三人の所まで運搬する作業を一人で行っていた。
 被災者は、18歳で被災日の約1ヵ月前に入社したばかりであり、被災時は見習い期間中であった。この見習い期間中に被災者は、上司の指導のもとで、木材の運搬等、各種作業に従事していた。
 磨丸太は、約20年生の杉材で、末口直径12〜13センチメートル、長さ3メートル、重さ40キログラム程度の木材で、災害原因となった材は、皮むき、背挽き、一次乾燥(露天干し)、水洗いが終了し、乾燥機による二次乾燥前のものであった。
 災害発生当日、被災者は上司の指示により、前述のとおり貯木場に立てかけてある磨丸太を約10メートル離れた乾燥機前まで運搬していた。上司がこの作業を命じたのは、被災者が入社間もなく、見習い期間中であり、同作業の経験がほとんどなかったため、同作業の中では最も軽便な作業であると判断したからである。
 作業開始後2時間20分程経過し、乾燥機の容量の八割程度の搬入を終えた時、貯木場付近で木材の倒れる大きな音がしたので、乾燥機の内部にいた三人がかけつけると、被災者が土場に倒れており、その肩に一本の磨丸太が倒れ、さらに、その磨丸太の上に五〜六本の磨丸太が倒れ乗っていた。被災者は救急車にて病院へ搬入されたが、既に死亡していたものである。
 被災者は一人で作業を行っており、付近に他の人もいなかったため、目撃者はいないが、付近、前後の関係から災害発生状況を推察すると次のとおりである。
 乾燥機前まで磨丸太の運搬をした被災者が、次の磨丸太を運搬すべく貯木場まで行き、材を取ろうとした時(又は、取った時)立てかけてあった磨丸太が、立てかけられた壁を横すべりし、被災者の側へ倒れ、その材が被災者を直撃したものである。

原因

一、 磨丸太が立てかけられていた状況は図のとおりであり、壁には倒壊防止用の木材製の「腕木」が設けられていたが、材が横すべりして激突した際に折損したこと。
二、 倒壊等発生のおそれがある作業にもかかわらず、保護帽を着用させていなかったこと。
三、 被災者は入社間もなく、見習い中であり、当該作業に不慣れであったこと。
四、 被災者が当該作業を行うにつれて、直接作業を指揮する者を配置せず、単独作業を行わせていたこと。

対策

一、 木材を立ち積みする際には、その材の長さ、重さ、材質、木皮の有無等に応じ、必要な間隔毎に十分な強度を有した腕木を設けるとともに、根元部分のすべり止め措置やチェーン等による「鉢巻き」なども必要に応じて施すこと。
二、 飛来・落下、倒壊等の災害発生のおそれのある作業に従事する作業者には、保護帽の着用を義務づけること。
三、 作業を開始する前に、当該作業に係る作業手順、危険性等について十分に検討し、安全な方法で作業を行うこと。