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労働災害事例

エアプラズマ機のケーブル結線作業中に感電し死亡

エアプラズマ機のケーブル結線作業中に感電し死亡
業種 機械(精密機械を除く)器具製造業
事業場規模 5〜15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) その他の電気設備
災害の種類(事故の型) 感電
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物) 故障未修理
発生要因(人) 無意識行動
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行

No.100915

発生状況

 この災害は、医薬品の製造工場において遠心分離機の鋼製架台を切断撤去する作業で発生したものである。
 当日、主として建築用金物の製作及び据付けを行っている会社に所属している被災者は、現場責任者および同僚5名とともに工場に到着し、ミーティングののち午前8時45分頃より作業に着手した。被災者はエアプラズマ機を使用して遠心分離機の鋼製架台の切断撤去作業を分担することになった。
 午後2時頃、被災者はエアプラズマ機の調子が悪いとの報告を行なった。責任者が配線等を調べたところ、工事用配電盤から出ているケーブル(3相交流200V)とエアプラズマ機のケーブルの結線部分が発熱によりビニールが少し溶け電線が切れかかっていた。
 そこで、責任者は、作業者達に「電源を遮断する」と声をかけ、一人の作業者にブレーカーを切るように指示したので、使われていた4台のプラズマ機全て使用不可能となった。
 しかし、その後、責任者は、異常のないケーブルに接続されているプラズマ機が使用できるよう自ら配電盤のところに行ってブレーカーを「オン」にした。
 この後、被災者は、接続不良箇所の修理を行うため、ケーブルの電源側のビニールテープを素手ではがし始めた。午後2時15分頃、作業場内のエアコンプレッサーのホースが突然外れ、ホースからエアを噴出しながら飛び回ったので被災者は驚いて転倒した。
 その直後、痙攣を起こしたような状態となっていた被災者を、近くにいた同僚が発見し、通電しているのではないかと判断して被災者が持っていたケーブルを引き離した。
 その後、心臓マッサージを行いながら救急車の手配を行い、被災者を病院に移送したが、約1時間後に感電のため死亡した。
 なお、被災者の通電経路としては、むき出しになったケーブルの結線部分から左手−背中であったと推定された。

原因

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 異常の回路を確認せずに通電したこと
 責任者は、エアプラズマ機の調子が悪い原因がケーブルの接続部分にあることを確認し、当初は工事用配電盤のところで全回路の電源遮断を行った。その直後に工事の効率化を図るため、異常のある回路を除いて電源を復帰させようと考え配電盤内にある2つあるブレーカーの一つを投入した。しかしこのブレーカーは停電しておくべき回路のものであった。
 なお、被災者は、修理に取りかかる前に、同僚からそのケーブル回路の電源が遮断されたことを聞いていた。
2 作業手順打ち合わせ等を行わなかったこと
 責任者は、異常回路修理のために工事用配電盤ブレーカーの遮断および異常がないケーブル回路の再通電に関して、手順の打ち合わせとその徹底を行うことなく自己判断でブレーカーを投入した。
 また、停電したときに、配電盤の施錠またはブレーカーに投入禁止等の誤通電を防止するための標示も行わせなかった。
3 感電しやすい環境下にあったこと
 当日の天候は晴れ時々曇りであったが、最高気温が35℃を超え、湿度も67%と蒸し暑い作業環境の下で作業を行っていたため、被災者は全身に汗をかいている状況であった。
4 安全管理を行っていなかったこと
 被災者は、充電されているケーブルの接続部を素手で取り扱っていたが、入社して4か月経っていても電撃危険等に関する教育は受けていなかった。
 また、会社及び責任者は、作業の方法及び手順を決定して関係作業者に徹底するなど、安全管理を実施していなかった。

対策

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 停電であることを確認すること
 電路を開路して停電とし、ケーブルあるいはその支持物の修理作業等を行う場合には、開路した電路が停電していることを確認したうえで作業を指示する。
 また、開路に用いた開閉器(ブレーカー等)には、作業中施錠し、若しくは通電禁止の標示を行う。(安衛則第339条)
2 作業指揮者を指名して作業を行うこと
 停電作業等を行う場合には、電撃危険についての知識、経験を有する者の中から作業指揮者を指名し、次の事項を行わせる。(安衛則第339条)
(1)
 あらかじめ作業の方法及び順序を周知させ、かつ、作業を直接指揮する。
(2)  電路を開路して作業を行うときには、電路の停電の状態、開閉器の施錠、通電禁止に関する標示または監視人の配置等を確認した後に作業の着手を命ずる。(安衛則第350条)
3 絶縁用保護具等を使用させること
 やむを得ず低圧電路を活かしたまま作業を行わせる場合には、絶縁用保護具(手袋等)または活線作業用器具を使用させる。(安衛則第346条)
4 安全管理体制を整備し、安全教育を実施すること
 臨時の作業などいわゆる非定常作業は、比較的安易に実施することが少なくないが、災害防止について一定の知識を付与した作業指揮者を養成し、その者を中心とした安全管理の徹底および安全管理体制の整備を図る。
 また、電撃(感電)は、低圧電路の作業においても発生するので、これらの充電電路の修理作業等に従事する者に対してはあらかじめ電撃危険とその防止対策について教育を実施する。