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労働災害事例

移動式クレーンで建設機械のアタッチメントの荷降し中、荷が振れて足を挟まれる

移動式クレーンで建設機械のアタッチメントの荷降し中、荷が振れて足を挟まれる
業種 産業廃棄物処理業
事業場規模 1〜4人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 移動式クレーン
災害の種類(事故の型) 激突
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:1人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.100867

発生状況

 この災害は、産業廃棄物処理場で発生したものである。
 この会社は、産業廃棄物の収集およびその処理、建築物の解体工事等を行っており、被災者は通常産業廃棄物の入ったコンテナをトラックで運搬する作業を行っている。
 災害発生当日、被災者は、依頼先の建設会社の工事現場から廃棄物の入ったコンテナの運搬を行うことになっていたので、事務所に伝票を置いた後その回収に行き、午後2時30分頃に会社に戻ったが、処理施設の近くにはコンテナを置く場所がなかったためトラックを所定の場所から少し下方にある土場に移動した。
 しかし、その場所には、3日前から車両積載型移動式クレーン(つり上げ荷重2.5t)が置かれていて、その荷台には建設現場で使用される建設機械のアタッチメント(質量1.2t)が積載されていたので、被災者は出発前に事務所で耳にした翌日に移動式クレーンを使用するとの話を思い出し、アタッチメントを降ろしておいた方がよいと考えた。
 そこで、車体の左側にある操作装置のところに行き、まず、右側のアウトリガーを張り出してから、アタッチメントに目通しで掛けられていたワイヤーロープのアイをクレーンフックに掛け、次にクレーンを操作してアタッチメントの爪が荷台の「あおり」の少し上にくるまで吊り上げた。
 続いて、アタッチメントを土場に下ろそうとしたが、その場所にはコンテナが置いてあったので予定を変更し、自分の操作している方向に降ろすことにして旋回レバーを操作したところ、荷が揺れはじめクレーンが被災者の方に倒れた。
 そのため、被災者は、クレーンと近くにあった廃材との間に左足を挟まれ、その状態のまま携帯電話で事務所に連絡し病院に移送されたが、左大腿部骨折で30日の休業となった。

原因

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 無資格者が移動式クレーンの運転等を行ったこと
 玉掛け方法が不適切でしかも両側のアウトリガーをきちんと張り出さなかったこと等により荷の振れが止まらなかった。被災者は本来トラックの運転を行う者であり、移動式クレーンの運転免許および玉掛け技能講習の修了者ではなかった。
 なお、被災者は、入社してから5か月であり、移動式クレーンの運転は当日が初めてであったが、運転免許を有している事業者の運転を見ていて自分もできると考えた。
2 作業指示が不明確であったこと
 この会社では、当日の作業は事務所で伝票を受け取ることによって指示する形になっていたが、運搬してきた廃棄物の入っているコンテナの置き場所、その後の作業内容については特段の指示を行ってはいなかった。
 そのため、トラックの運転者が自分の判断で作業を行うことを常態としていた。
3 安全管理が行われていなかったこと
 この会社は事業者を含めて3名であり、移動式クレーンはこの他につり上げ荷重が4.8tの移動式クレーンを保有していたが、クレーン運転免許を有しているのは事業者(他の作業員は玉掛け資格のみ有していた)だけなのに、移動式クレーンのキーは付け放しで誰でも操作できる状態にしていた。
 また、横転したクレーンは、購入後1か月を経過したものであったが、定期自主検査および作業開始前の点検を実施しておらず、巻過防止装置およびフックの外れ止め装置が故障・破損していた。
 さらに、会社として労働者に対して安全衛生教育も実施していなかった。

対策

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 移動式クレーンの運転等は有資格者に行わせること
 つり上げ荷重が1t以上5t未満の移動式クレーンの運転を行う場合には、移動式クレーン運転免許又は小型移動式クレーン運転技能講習修了者、1t未満の場合には特別教育修了者に行わせる。
 また、つり上げ荷重が1t以上の移動式クレーンの玉掛け業務は、技能講習修了者、1t未満の場合には特別教育修了者に実施させる。
2 作業指示を明確に行うこと
 産業廃棄物処理場等においては、作業場が雑然としていて、移動式クレーン等の作業中に、あるいは集積物の崩壊等による災害が発生することも少なくない。単に集積作業の指示だけではなく、集積場所・土場の指定、整理整頓の実施を行うとともに、機械の運転者等について明確に指示する。
3 定期自主検査等を確実に実施すること
 移動式クレーン等については、機械の面からの安全を確保するために性能検査、年次検査、月例検査、作業開始前点検が義務づけられている。これらを適正に行うとともに不具合部分については直ちに補修する。
4 安全衛生等の安全管理を実施すること
 規模が小さい事業場においても安全衛生教育の実施、機械設備の点検整備、移動式クレーンの運転者の養成等は必須事項であるので、安全衛生管理を行う者を指名して実施させるか、事業主自身が責任を持って実施する。