排水路用のコンクリート製部材の積込準備中に部材が崩壊し激突
業種 | 一般貨物自動車運送業 | |||||
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事業場規模 | 16〜29人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 移動式クレーン | |||||
災害の種類(事故の型) | 墜落、転落 | |||||
被害者数 |
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発生要因(物) | ||||||
発生要因(人) | ||||||
発生要因(管理) |
No.100659
発生状況
この災害は、コンクリート製排水フリュームを顧客先に運搬するための準備作業中に発生したものである。被災者の所属する会社は、コンクリート製排水フリューム(排水路を築造するための部材)、骨材、産業廃棄物等の運送を行っており、被災者はトラックの運転手として1年前に入社している。
災害発生当日、朝7時頃には会社の作業員全員が集合し、それぞれが運転するトラッククレーン等の点検、荷台の雪下ろし等を行った後ミーティングが行われ、被災者は、会社が運搬契約をしている製造工場からコンクリート製フリューム等を顧客先に同僚と2名でトラッククレーンで運搬することを指示され、工場に午前7時50分頃に到着した。
作業指示は、同僚がコンクリート製蓋板(40kg/1枚)122枚の運搬、被災者がコンクリート製排水フリューム(200cm×66cm×99cm 1,060kg/1個)6個の運搬で、工場に到着後それぞれの積み込み場所で作業を開始した。
同僚が、12枚が1組となったコンクリート製蓋板の5組目をトラッククレーンの荷台上に運搬してきたときに「ドドーン」という大きな音が聞こえたので、被災者の作業箇所に走っていったところ、積み重ねてあったコンクリート製排水フリュームが崩壊し、被災者が1段目の上で仰向けに倒れていた。
声を掛けたが瞬きはしたものの、手足の反応がなかったので直ちに工場に駆け込み、救急車の手配をして病院に移送したが、2日後に脳挫傷等により死亡した。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。1 | 運搬する荷材が凍結していたこと 災害時の目撃者はいないが、事故後の状況から見ると、氷点下の屋外に3段以上に重ねられていたコンクリート製排水フリュームが凍結していたので、フリュームの片側にフックを掛けトラッククレーンで吊り上げて剥がす作業を行っているときに、排水フリュームが崩壊し頭部に激突したものと推定される。 なお、排水フリュームが凍結した場合には、フリュームの片側にカギと呼んでいるフックを掛け引き離す作業が常態として行われていた。 |
2 | クレーンの操作位置が不適切であったこと 被災者が操作していたトラック積載型クレーン(2.98t)は、ラジコン方式のものであったので、かなり離れていてもクレーンの操作が可能であったが、操作の際に積み重ねていた排水フリュームに乗っていたため、崩壊したときに避難することができなかったと推定される。 |
3 | 作業開始前の指示が不十分であったこと 作業者が出発する前に会社でミーティングが実施されていたが、作業の安全に関しては安全靴と保護帽の着用に関することだけであり、クレーン作業に関する指示とくに荷の凍結に伴う危険性とその防止策については何ら指示をしていなかった。 |
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。1 | クレーンの操作は安全な位置で行うこと トラック積載型クレーン等の作業を行う場合には、万一、作業中に取り扱う荷の崩壊、落下等があった場合でも危険が及ばない位置で操作、合図を行うよう徹底する。 |
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2 | 作業方法を定め作業を行わせること 移動式クレーンを用いた作業については、転倒等による危険を防止するため、あらかじめ作業場所の広さ、地形・地質の状態、荷の重さ等を考慮して次のような事項を定め、関係作業者に徹底する。(クレーン則第66条の2関係) |
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(1)
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作業の方法 | |
(2)
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転倒を防止するための方法 | |
(3)
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作業者の配置および指揮の系統 | |
また、屋外に置かれた荷が凍結するような条件下で作業を行う場合には、凍結解除の方法、使用する機材等を含む作業手順を定め、関係作業者に周知徹底する。 | ||
3 | 安全衛生管理を徹底すること 移動式クレーンを使用する作業はオペレーターが単独で行う場合、関連会社の作業員と共同で行う場合等が少なくないが、作業指揮、指示内容が不明確なために生ずる災害を防止するため、作業開始前に安全作業に関する指示を明確に行うとともに、事業者、現場責任者等はその履行状況等を確認する。 また、関係作業者に対しては、あらかじめクレーン関係作業における事故・災害防止のための教育を実施する。 |