ベルトコンベアを高圧水で洗浄中、送水ポンプの駆動モーターの漏電により感電
業種 | その他 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
事業場規模 | 100〜299人 | |||||
機械設備・有害物質の種類(起因物) | 原動機 | |||||
災害の種類(事故の型) | 感電 | |||||
被害者数 |
|
|||||
発生要因(物) | 接地なし、不十分 | |||||
発生要因(人) | 危険感覚 | |||||
発生要因(管理) | 欠陥のある機械、装置、工具、用具等を用いる |
No.100396
発生状況
この災害は、ベルトコンベアを高圧水で洗浄中、送水ポンプの駆動モーターの漏電により、感電したものである。この工場は毎日つぶされて搬入される60台前後の廃車を1台づつ破砕機により細かく砕いて、この破砕片をベルトコンベアにより次の工程へと搬送している。この破砕されたものは、鉄・非鉄・ゴム等に分別の上、回収している。この時に発生した多くのゴミ類がベルトコンベアに付着するので、それを取り除くため週2回高圧水を吹き付けて水洗清掃を行っている。
災害発生当日、1ヶ月前に入社した被災者は工場長の指示により、午前8時30分から12時まで屋外の第1ベルトコンベアを地上より高圧水を吹き付けて水洗洗浄を行った。午後1時から再び隣接して設置されている第2ベルトコンベアの水洗作業に取りかかった。午後2時ごろ被災者は水が噴射している金属製高圧水噴射ノズルを手に持ったまま、水で濡れた作業現場に倒れているところを同僚により発見された。同僚が噴射している水を止めようとして、噴射ノズルに触ったところ電気を感じたので、ホースを持って被災者を引き離し、人工呼吸を行ったが、感電死した。
原因
この災害は、ベルトコンベアを高圧水で洗浄中、送水ポンプ駆動のモーターの漏電により感電したものであるが、その原因としては次のようなことが考えられる。1 送水ポンプの電動機が鉄製台車に乗せられていたがアースは施されていなかったこと。
2 作業現場は水洗清掃するため常に湿っ た状態であり、被災者は金属の入った安全靴を着用していたため微弱電流にも拘らず感電したこと。
3 感電防止用漏電しゃ断装置が移動式の設備に設けられていなかったこと。
4 ケーブルを用いてモーターに接続する際に送水用ホースの絶縁状態を十分に確認していなかったこと。
電気工事施工の専門でない者が接続したため、テープがはがれて電線がむき出しとなっていた。
5 洗浄機等の設備について点検整備が不十分であったこと。
6 安全管理が不十分であったこと
安全管理者が選任されていなくて、安全作業基準の策定も行われず、安全教育も不十分であった。
対策
この災害はベルトコンベアを高圧水で洗浄中、送水ポンプの駆動モーターの漏電により感電したものであるが、同種災害の防止のためには次のような対策の徹底が必要である。 | ||
1 | 移動式または可搬式の電動機械器具を使用するときは、次のいずれかの方法により漏電による感電の危険を防止すること | |
(1) | 感電防止用漏電しゃ断装置を電路に接続しておくこと。 特に湿った場所など導電性の高い場所で使用する場合には対地電圧が低くても設置することが必要である。 |
|
(2) | 電動機械器具の金属製外被等の金属部分をアースすること。 | |
2 | 移動式又は可搬式の電動機械器具は、定期的にチェックリストを用いて自主点検整備を行うこと。 ケーブルの接続部分の絶縁テープがはがれていないか等は点検によって確認し、必要に応じて補修する。 |
|
3 | 安全管理者の選任をはじめとする安全衛生管理体制を整備すること。 特に、この事例の会社のように同じ場所に工場が3ヶ所ある場合には、統一して安全衛生管理することが必要である。 |