「4 危険性・有害性の特定」で特定された危険性又は有害性について、ここでは、「表@作業者が、危険性・有害性に近づく頻度【例】」、「表A 作業者が、危険性・有害性に近づいた時に、けがや疾病となる可能性【例】」、「表B 危険性・有害性によって発生する、けがや疾病の重篤度【例】」の3 つの要素によりリスクの大きさを見積もります。
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次に、その危険性・有害性に近づいたとき、けがや疾病となる可能性を検討します。カバーがついているか、つい手を出してもけがをしない構造になっているかなど、表Aの内容の目安を確認し、該当する可能性の点数を選びます。 | |
さらに、その危険性・有害性によってどの程度のけがになるか見積もり、表Bから該当の点数を選びます。 |
頻度 | 点数 | 内容の目安 |
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頻繁 | 4 | 1日に1回程度 |
時々 | 2 | 週に1回程度 |
ほとんどない | 1 | 半年に1回程度 |
ここでいう「頻度」とは、作業中に危険性・有害性と作業者が接触する頻度のことで、作業回数のことではありません。
下図の台車を使った荷物の運搬作業を考えた場合、「頻度」は右側の図のように荷物が崩れて足に近づく頻度となります。台車と荷物をひもでしばって落ちにくくする対策をとれば頻度は低下します。なお、安全靴(保護具)の着用をしても、足に荷物が近づくことに変わりがないため、頻度は変わらないと解釈しましょう。
可能性 | 点数 | 内容の目安 | |
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危険検知の可能性 | 危険回避の可能性 | ||
確実である | 6 | 事故が発生するまで危険を検知する手段がない | 危険に気がついた時点では、回避できない |
可能性が高い | 4 | 十分な注意を払っていなければ危険がわからない | 専門的な訓練を受けていなければ回避の可能性が低い |
可能性がある | 2 | 危険性又は有害性に注目していれば危険が把握できる | 回避手段を知っていれば十分に危険が回避できる |
ほとんどない | 1 | 容易に危険が検知できる | 危険に気がつけば、けがをせずに危険が回避できる |
「可能性」は、危険性・有害性と人が接近した場合に、けがや疾病となる可能性です。
例えば、「作業者が、作業中に機会に挟まった材料をとっさに除去しようとした際、動いているカッターに触れ、けがをする」例を考えると、手がカッターに近づいたとしても、
手がカッターに触れることができない防護カバーなどの工学的対策を実施していれば、けがや
疾病となる「可能性」が極めて低いことになります。
なお、作業者に管理を委ねる保護具の着用等の対策については、必ず着用している確証が
ないため、けがをする「可能性」は高いと解釈しましょう。
重篤度 | 点数 | 災害の程度・内容の目安 |
---|---|---|
致命傷 | 10 | 死亡や永久的労働不能につながるけが 障害が残るけが |
重傷 | 6 | 休業災害(完治可能なけが) |
軽傷 | 3 | 不休災害(医師による措置が必要なけが) |
軽微 | 1 | 手当後直ちに元の作業に戻れる微小なけが |
災害防止の観点から重篤度(災害の程度)は、現在の安全衛生対策の上から起こる最大の大きさを想定しましょう。例えば、階段からの転落事故について考えると、一般的には骨折または打撲となることが多いですが、対象となる階段の状況(高さや手すりの有無、落下地点がコンクリートなど)を現場で考えたとき、どのように見積もるか、その内容を十分検討することが大切です。
〜の見積もり後、その数値結果を加算し、点数を算出し、表Cによりリスクレベルを評価します。
リスク | 点数 (リスクポイント) |
優先度 |
---|---|---|
M | 12〜20 | 直ちにリスク低減措置を実施する必要がある。 (直ちに中止または改善する。) |
L | 9〜11 | 速やかにリスク低減措置を実施する必要がある。 (重大な問題がある早急な改善が必要です。) |
K | 6〜8 | 計画的にリスク低減措置を実施する必要がある。 (作業の改善が必要です。) |
J | 5以下 | 必要に応じてリスク低減措置を実施する。 (残っているリスクに応じて教育や人材配置が必要です。) |
※点数が高いほどリスクレベルも高く、優先度も高い。
作業者が、ソーセージを切断機械で切断中、いったんスイッチを切ったが、カッターが回り続けていることに気づかず手を近づけたため、指を切断する。
※リスクの見積り手法には様々な手法があり、以下の3つが代表的な手法です。
ここで例示したのは、2の数値化による方法です。
1.マトリクスを用いた方法 2.数値化による方法 3.枝分かれ図を用いた方法