安全データシート
ジアニシジン
作成日2003年05月06日
改定日2006年02月24日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: ジアニシジン
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03-1234-5678
緊急連絡電話番号: 03-1234-5678
FAX番号: 03-1234-5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 医薬、染料(ファーストブルーBベース)の中間物

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 分類対象外
可燃性固体 分類できない
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 分類対象外
自然発火性固体 分類できない
自己発熱性化学品 分類できない
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
健康に対する有害性 急性毒性(経口) 区分4
急性毒性(経皮) 分類できない
急性毒性(吸入:ガス) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 分類できない
急性毒性(吸入:粉じん、
ミスト)
分類できない
皮膚腐食性・刺激性 分類できない
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 分類できない
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 区分2
発がん性 区分2
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分2(腎臓)
長期又は反復ばく露による腎臓の障害のおそれ(区分2)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境に対する有害性 水生環境急性有害性 分類できない
水生環境慢性有害性 分類できない
ラベル要素
絵表示又はシンボル: 感嘆符 健康有害性
注意喚起語: 警告
危険有害性情報: 飲み込むと有害(経口)
遺伝性疾患のおそれの疑い
発がんのおそれの疑い
長期又は反復ばく露による腎臓の障害のおそれ
注意書き: 【安全対策】
すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
個人用保護具や換気装置を使用し、ばく露を避けること。
粉じんを吸入しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
【応急措置】
ばく露又はその懸念がある場合:医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合:気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。口をすすぐこと。
気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
【保管】
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国/地域情報

3.組成、成分情報
物質
化学名又は一般名: ジアニシジン(Dianisidine)
別名: 3,3’−ジメトキシベンジジン(3,3'-Dimethoxybenzidine)
4,4’−ジアミノー3,3'-ジメメトキシビフェニル(4,4'-diamino-3,3'-dimethoxybiphenyl)
o-ジアニシジン(o-dianisidine)
化学式: C14H16N22
化学特性
(化学式又は構造式):
化学式又は構造式
CAS番号: 119-90-4
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(5)-2328
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
医師の手当、診断を受けること。
皮膚に付着した場合: 皮膚を速やかに洗浄すること。
多量の水と石鹸で洗うこと。
医師の手当、診断を受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 水で数分間、注意深く洗うこと。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合: 直ちに医師を呼ぶこと。
口をすすぐこと。
予想される急性症状及び遅発性症状 眼、皮膚、粘膜、呼吸器官上皮を刺激。
最も重要な兆候及び症状:
応急措置をする者の保護: 救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。
医師に対する特別注意事項: 情報なし

5.火災時の措置
消火剤: 噴霧水、二酸化炭素、粉末消火剤、耐アルコール性泡消火剤
使ってはならない消火剤: 棒状注水
特有の危険有害性: 火災によって刺激性、毒性、又は腐食性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
風上に留まる。
低地から離れる。
環境に対する注意事項: 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
回収、中和: 漏洩物を掃き集めて空容器に回収する。
湿らせて良い場合は、粉じんの発生を防ぐために湿らせてから掃き入れる。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項: 飲み込みを避けること。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
接触、吸入又は飲み込んではならない。
使用前に取扱説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
蒸気、ミスト、スプレーを吸入してはならない。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 特に技術的対策は必要としない。
保管条件: 容器を密閉して換気の良い冷所で保管すること。
施錠して貯蔵すること。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
容器包装材料: 包装、容器の規制はないが密閉式の破損しないものに入れる。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2005年版) 設定されていない。
ACGIH(2005年版) 設定されていない。
設備対策: 工程の密閉化、局所排気その他の設備対策を使用する。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具: 適切な手の保護具を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
皮膚及び身体の保護具: 適切な保護衣を着用すること。
衛生対策: この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 無色結晶又は紫色結晶 6) ,9) ,16)
臭い: データなし
pH: データなし
融点・凝固点: 131.5℃ 6) 137-138℃ 9)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 356℃(沸点) 19)
引火点: 206℃ (密閉式) 16)
爆発範囲: データなし
蒸気圧: データなし
蒸気密度(空気 = 1): データなし
比重(密度): 8.43 (空気=1) 16) 8.5 12)
溶解度: 60mg/L 水(25℃) 19) Practically insol. 9)
アルコール、ベンゼン、エーテルに易溶。 6) ,9)
オクタノール/水分配係数: log Pow = 1.81 (測定値) 19)
自然発火温度: データなし
分解温度: データなし
臭いのしき(閾)値: データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  該当する。
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 通常の取扱温度、圧力の下で安定。
加熱、燃焼すると分解し、有毒なヒューム(窒素酸化物)を生成する。
加熱により発火する。
危険有害反応可能性: 強酸化剤と反応する。
避けるべき条件: 高温、混触危険物質との接触。
混触危険物質: 強酸化剤。
危険有害な分解生成物: 窒素酸化物。

11.有害性情報
急性毒性: 経口 ラット LD50 1920mg/kg 1) ,6) ,16)
経口 ラット LD50 1001mg/kg 6)
飲み込むと有害(区分4)
皮膚腐食性・刺激性: 10%溶液をウサギに皮内注射しても刺激性は認められない。 7)
ヒトへ皮膚を刺激する可能性がある。 4) ,8) ,16)
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性: ヒトの眼を刺激する可能性がある。 7) ,8) 10%溶液はウサギの眼を刺激しない。 7)
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 呼吸器感作;本物質を約100年間製造していた工場で、感作性を示した従業員は皆無である。 34) 皮膚感作性:織物染色工場での皮膚感作性を疑われる1症例の報告 7) を除いて、他に同様の報告は無い。一方、本物質を約100年間製造していた工場では、感作性を示した従業員が皆無である。
生殖細胞変異原性: 体細胞を用いる in vivo 遺伝毒性試験のほ乳類骨髄細胞を用いる姉妹染色分体交換(SCE)試験で陽性。 20)  in vitro 変異原性試験で陽性。 1) ,20)
遺伝性疾患のおそれの疑い(区分2)
発がん性: EUはカテゴリー2(ヒトに発がん性とみなされるべき物質)。 IARCは グループ2B(ヒト発がんの可能性がある物質)。日本産業衛生学会は、グループ2B(人間に対して恐らく発がん性があると考えられる物質・証拠が比較的十分でない物質)。NTPはグループR(合理的にヒト発がん性が予測される物質)。
発がんのおそれの疑い(区分2)
生殖毒性: データなし
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
ヒトへの影響として鼻や喉を刺激する可能性が示唆されているが、具体的な症例報告に基づく記述か否か不明である。 4)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
ラットを用いた13週間飲水経口投与試験で腎重量増加が区分2のガイダンス値範囲のばく露で認められ、腎症が最高用量群で認められた。 20)
長期又は反復ばく露による腎臓の障害のおそれ(区分2)
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
情報なし

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
燃焼法 アフターバーナ及びスクラバ付きインシナレータの中で焼却する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 非危険物
航空規制情報 非危険物
国内規制
陸上規制情報 該当しない
海上規制情報 非危険物
国連番号: なし
航空規制情報 非危険物
国連番号: なし
特別の安全対策 消防法の規定に従う。
危険物は当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載すること。
危険物又は危険物を収納した容器が著しく摩擦又は動揺を起こさないように運搬すること。
危険物の運搬中、危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれがある場合には、災害を防止するための応急措置を講ずると共に、もよりの消防機関その他の関係機関に通報すること。
移送時にイエローカードの保持が必要。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。

15.適用法令
労働安全衛生法: 特定化学物質第1類物質
(製造許可物質)
(特定化学物質障害予防規則第2条1項第1号)
名称等を通知すべき有害物
(表示)(法第57条の2、第56条第1項のもの)
名称等を表示すべき有害物
(施行令第18条)

16.その他の情報
参考文献
1) RTECS (Access on Oct 2005)
2) 後藤稠 他編:産業中毒便覧、医歯薬出版(株)p 1128-1129 (1977)
3) ACGIH : Documentation of Threshold Limit Values (7th, 2001) (2004)
4) HSFS
5) 有機化合物辞典 (1985)
6) BUA
7) SITTIG
8) NTP DB
9) Merck (Access on Jul 2005)
10) NFPA (12th, 1997)
11) Ullmanns (E) (5th, 1995)   
12) Sax (8th, 1992)
13) SRC (Access on Dec 2005)
14) (社)日本産業衛生学会 (2004)
15) ICSC (J) (1989)
16) HSDB (Access on Jun 2005)
17) Weiss (2nd, 1986)
18) 化工物性定数 vol. 1 (1963)
19) Howard (1997)
20) DFGOT vol 5 (1993)
21) 化学物質の危険・有害性便覧 中央災害防止協会 (1992)
22) GHS分類結果 (JETOC)
23) 日化協「緊急時応急措置指針、容器イエローカード(ラベル方式)」
24) 日化協「化学物質法規制検索システム」(CD-ROM) (2005)
25) 日本ケミカルデータベース(株)「化学品総合データベース」 (2005)
災害事例
(1)染料工場においてジアニシジンを取り扱っていた労働者に尿路系腫瘍の発生をみた。